広告やマーケティングより中身にお金と時間をかける。

Aタグ・ホイヤーに10年以上。

ジェロームブランドイメージは好きでしたが、あのゴツめの時計はスーツに合わないのでは?と思っていて、スーツに合うもっと薄い時計の開発を日本からリクエストするきっかけになりました。

Aその後はルイ・ヴィトンに。

ジェロームタグ・ホイヤーが買収されて同じグループになったので。軽くて柔らかいバッグの開発を本社にプッシュしたこともありましたね。

A3年勤めてシスレーに。初めての化粧品業界はいかがでした?

ジェロームグッドサプライズだったのは、ローカルに合わせて変更しなくても、感触や香りも含めて日本女性に受けがよかったこと。シスレーは広告やマーケティングより、製品自体が強い。エネルギーもお金も時間も、すべて製品の中身に注ぎ込んでいますからね。

Aさすがドルナノ伯爵が創業した貴族のファミリー企業。

ジェローム歴史的に、貴族は高い地位を得るために特別なことをやっていました。フランス革命で貴族階級は消えましたが、マーケティングやライバルに勝つ、ではなく、社会的にリスペクトされる仕事をすべきだというファミリーの価値感が代々踏襲されているんです。

Aドルナノ家のブレのなさは、シスレーの大きな強みですね。

ジェロームそして私たちには、新しい時代に過去の価値を伝える義務があると感じています。だから今も、売り上げにおける新製品のシェアはマックスで15%。定番のロング&ベストセラーアイテムが非常に多いブランドです。でも、ロングセラーになる魔法はない。 丁寧につくってお客様に認めてもらうだけ。

「ラグジュアリー」ではなく「ハイエンド」な本物を追求。

A最近は、以前より新製品が活発に出ている印象ですが。

ジェロームそれもマーケティングを優先せず、自分のペースで動いているからです。単純に、いいものができたら製品化して売る。できなければ出さない。今年は確かに収穫が多く、業績も好調です。

A若い世代も手にしやすいアイテムが増えていますね。

ジェロームそうなんです。でも“お高い”イメージをお持ちの方も依然多いので、若い人にも気軽にトライしてもらおうと、イセタンミラーなどのセルフ店舗にも製品数を絞って展開を始めました。百貨店の分析によると、90年代はスキンケアを1ブランドで揃えていたけれど、今は単品志向になっているのだと。ファッションと同じように、化粧品もハイ&ローの現象が。だからまだまだ広がるチャンスがあると思っています。