カリフォルニアではここ数年、ワインも食も大きな変化を見せている。ワインカントリーの“新しい風”を追いかけて、ナパ、ソノマを旅した。

ソノマのワイナリー「マクマレー・エステート・ヴィンヤーズ」の畑(一般非公開)。

 整然と美しいブドウ畑の向こうに、深い森を縫うように走るロシアン川が見渡せる。きらめくような明るい陽光は、遠くに山々の青い稜線を浮かび上がらせ、その壮大な景色は、ここがワインの銘醸地・カリフォルニアであることを実感させる。

「カリフォルニアワインが変わった」と言われるようになったのは、ここ10年ほどのこと。かつての芳醇でストラクチャーが明確なスタイル以外に、果実味と酸味が繊細なワインが数多く登場するようになってきたのだ。この流れは“ニューカリフォルニア”と呼ばれ、元「サンフランシスコ・クロニクル」誌のワインライター、ジョン・ボネ著の『THE New California Wine』に基づくもの。温故知新の精神に立ち戻り、テロワールを大切にしたワイン造りが注目されている。新進気鋭や大御所と、造り手はバラエティ豊かだが、特に目につくのはサステイナブル・ワイン・グローイング(持続型農業)を実践するワイナリーが多いことだろう。「フラワーズ」もそのひとつで、冷涼な土地で育まれるシャルドネとピノ・ノワールのピュアな酸味は、また新たなカリフォルニアワインの魅力を放っている。

 一方、“クラシック”といわれる生産者たちも、自分たちの個性を守りつつ、また新たなスタイルを構築中だ。たとえば、カリフォルニアワインを牽引してきたナパ・ヴァレーの「ロバート・モンダヴィ ワイナリー」は、ロワールの「プイィ・フュメ」にインスピレーションを得た香り豊かな「フュメ・ブラン」(ソーヴィニヨン・ブラン)に時代の好みを反映させ、さらに軽やかに進化している。また、ナパ・ヴァレーは“カベルネ・ランド”ともいうべきカベルネ・ソーヴィニヨンの聖地だが、カベルネの名手「シルバーオーク」は、食事とのペアリングをワイナリーの訪問プログラムに組み込むなど、ワインの新たな楽しみをゲストに提案している。