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出産後1週間で届いた台本。卑弥呼役で娘に泣かれた日々。

 気がついたら女優になって60年。来年早々に、これまでのキャリアを振り返った本の出版が控えています。そのために、出演した映画を観返したり、昔の掲載記事を引っ張り出して読んだりしていますが、まぁ、よくもこんなにたくさんの仕事をしてきたなと、我ながら驚いています(笑)。映画だけでも、120本以上は出演していますし、ドラマも入れたらさらに……。

 キャリアのスタートは、1958年、17歳の高校生の時。『バス通り裏』というNHKドラマでした。お休みしたのは、32歳の出産後くらい。妊娠6か月の時も夫の篠田(正浩監督)が撮影した『化石の森』に特別出演していましたから。でも、出産3か月後にはやはり篠田の『卑弥呼』で現場に復帰しました。病院で出産して帰宅後、1週間くらいでもう台本が届いちゃったんです(笑)。すると、母乳が止まってしまって。仕事のスイッチが入ったんでしょうね。さらに、神がかった卑弥呼役として、眉毛を剃り妖気も漂わせていました。そのただならぬ雰囲気を子どもは察知したんでしょうね。家に帰ると3か月の娘が泣くんです。その時ですね。こんな母親でかわいそうだなぁって思ったのは。それから小学校に上がるくらいまで、仕事をセーブして子どものそばにいるべきか、悩みました。可愛い盛りですもの。『鬼畜』という映画で子どもをいじめる悪女を演じた時も辛かったですね。家に帰るとその反動で、娘にすぐ抱きついちゃう。「愛してるわ、愛してるわ」って娘を抱きしめて頰ずりしていました。でも、その分、私の愛情はわかってくれていたと思います。