写真家、映像作家として活躍するフランス出身のサラ・ムーンの写真展が、4月4日(水)から5月4日(金)まで銀座のイベントスペース「シャネル・ネクサス・ホール」で開催される。「D'un jour à l'autre 巡りゆく日々」というタイトルのもとに構成された、近作を中心とする100点以上の作品は、いずれも何らかの物語や忘れかけた記憶がふっと浮かびあがるような、サラ独自の空気をまとっている。

浮かんでは消えてゆく、儚いものたちと向き合う時間

La main gelée, 2000 © Sarah Moon
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 フランスを代表する写真家であり、映像作家としても高く評価されるサラ・ムーン。1960年代にパリを拠点にモデルとして活動したのち、1970年代にファッションや広告の分野で写真家としてキャリアをスタートし、シャネルを含むトップメゾンの仕事に携わる。1980年代には作家活動を開始し、以降30年以上にわたってアーティストとして第一線で活躍してきた。

 優美な衣装をまとった女性や少女。動物の剝製や骨格標本。鳥や象などの生きものたち。時に荒涼とした自然の風景。彼女が選ぶ被写体はそれ自体、現実に存在する事物ばかりだ。ところが、その独自の作品には「絵画主義的(ピクトリアリスム)」とも呼べるような詩的で幻想的なイメージが創出されている。

「私が写真に表現できるのは、対象が何であれ、それを見るという経験を通して自分が感じるエコー(こだま)だけなのです。だから、実際の現実とは違っています。

 自分の人生を語り始めたら、それはもうフィクションであるように、ものごとはいったん語られてしまえば、別の物語に変容してしまうもの。それは、写真も同じなのです」

 本展に際して、サラ・ムーンはそう語っている。