「目の前のことを粛々とやり続ける」それがエンタメに残された道。

──そんなお二人が、4月に行われるコンサート『坂東玉三郎 越路吹雪を歌う「愛の讃歌」』で共演されます。玉三郎さんは昨年『邂逅~越路吹雪を歌う』というアルバムも出されましたよね。玉三郎さんにとって、越路吹雪さんとはどんな存在ですか?

坂東 歌も素敵だったけれど、越路さんはエンターテイナーとして素晴らしい方でした。私が彼女を知ったのは『王様と私』のアンナ先生役でしたね。ちょうど日生劇場で『ロングリサイタル』が始まる直前だったと思います。そこで岩谷時子さんとも初めてお会いして。ツレちゃん(鳳蘭さん)と一緒に楽屋にサッとお邪魔したのを覚えていますね。

凰稀 私は2年前から、岩谷時子先生のメモリアルコンサートに出演させていただいたのがきっかけで、越路さんの歌を歌わせていただくようになりました。もっともっと越路さんについて知りたいと思うのですが、映像があまり残ってなくて、本当に残念なんです……。

坂東 実は、昨年は越路さんの37回忌だったんですよね。同じ宝塚出身、と思うと世代が違うという感覚があまりないんですけど、凰稀さんなんて、まだ生まれてなかったわけでしょう? どうやって越路さんのことを教えてあげればいいだろうって思いますよ。時代もよかったし、スタッフや演出も最高。大人が足を運んで「観たい!」と思う素晴らしいショーでしたからね。

──観客の方には、越路さんのどんなところを伝えていきたいと思われますか?

坂東 生まれてもいなかった子たちにはなかなか伝わらないと思うんです、実は。でも皆で越路さんの歌を歌っていくうちに、自然と伝わるものがあるんじゃないかとは思います。あとは「今の若い子たちにとっては、越路さんの曲は新曲だから」と言われて、それは面白いなって思いました。僕にとっては印象深くて素晴らしい曲でも、世の中にはほとんど出ていない曲もたくさんあるので、新曲を聴く感覚で楽しんでもらえたら。

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