「24時間戦えますか?」というコピーとともに、栄養ドリンクが登場したのは、30年ほど前。時は移り、仕事中心の生活は過去のものになりつつある。だが、しかし。あなたは、風邪をひいたとき、頭が痛いとき、仕事を休み、体を横たえているだろうか? よほどの症状でない限り、「くすり」をのんで、頑張っているはずだ。私たちの生活の中に当たり前にある「くすり」について、あらためて考えてみたい。

「風邪を治すくすりは存在しない。 そう言うと100%驚かれるが、事実です」

 皆さんがくすりをのむのは、どんなとき?

 答えはもちろん、「病気」のときだろう。実際には、ちょっとした風邪や頭痛、生理痛、便秘など、病気と呼ぶのにはやや大げさな場面もあるが、体調が万全でなくなったときに、くすりの出番がやってくるのは間違いない。

 では、次の質問を。くすりは何のためにのむのだろう?

 恐らく多くの人が「病気を治すため」と答えるはずだ。「だって、くすりの目的は病気の治癒、そのために作られたものでしょ?」と。

 そう、「くすりで病気を治す」という考え方は、現代の日本において、常識といっていいほど広く、深く浸透している。そして実は、一見当たり前に思えるこの発想の中に、くすりの使い方を誤らせる“落とし穴”が潜んでいるという。

 くすりと体に関する著書が多数ある、札幌医科大学細胞生理学講座の當瀬規嗣教授は、こう話す。

「例えば、風邪薬の役割は、風邪を治すことではありません。風邪を治すのは、体に備わった自然治癒力のはたらき。風邪薬は、熱や咳などのつらい症状を和らげて体の消耗を抑え、結果として、自然治癒力を高めているのです」

 実際、市販の風邪薬(総合感冒薬)の説明書の効能欄には、「風邪の諸症状の緩和」とか「のどの痛み、発熱、鼻づまり、鼻水、頭痛などの緩和」などと記されている。「風邪を治す」とは書かれていない。治すのは、体の免疫システムなどのはたらき。くすりはあくまで、そのサポート役なのだ。

「くすりの広告で、“風邪をひいたら早めにのんで”などとありますが、多くの人がその意味を誤解しています。風邪のときに一番大事なのは、体を休めること。ですから、“このくすりで、つらい症状を抑えている間に、しっかりと休みましょう”というのが正しい解釈なんです」(當瀬教授)

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