今を愛おしむこと。そして新しい出合いを恐れないこと

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──舞台版のファンとは、「59+1」という作品で、30年後の再会を約束しているそうですね。

 新しく作品をつくる、という意味ではないんです。2013年に、「29+1」の舞台公演にいったん区切りをつけることを発表したとき、観客のみなさんは「いやだ!」とおっしゃってくれたんですね。なので、作品に出てくる「女性の人生の周期は30年」という言葉にあやかり、それが2巡目を迎えるタイミングで、30年前と同じ作品を上演して旧交を温めましょうと。

──その頃には女性の生き方が変わっていると思いますか? 30歳なんて気にしなくなっているでしょうか?

 30年後のことなんて考えたこともありません。私って、来週のことすら考えないんですから。計画を立てるのがすごく嫌いだし、未来に関して幻想も抱きません。そういえばこんなことがありました。「29+1」の再演のとき、以前より小さな劇場になってしまったんです。それを見に来た先輩がこう言うんです。「面白いんだから、もっと大きいところでやれば?」。でも私はそんなこと考えもしなかった。「今の劇場ってすごくいい。観客が近いし居心地もいい!」って思っていたんです。頑張って稼いでいつかは大豪邸に住む! もっと幸せになる! なんてことも、考えたことがありません。私にとっては、常に今が一番。いつも今いる場所を心地いいと思えるし、今という瞬間が愛おしいんです。「29+1」が映画になるなんてことも、思いもしなかったですから。

──「人生は行く先を決めてしまわないほうが面白い」というような考えですか?

 そういうわけではなく、ただ私にはそれが向いているだけです。もちろん何かを見定めて進んでいくほうが上手くいく人もいますよね。子ども時代には親から「目標を持ちなさい!」と言われたものです。そのほうがカッコいいし。でも私はそういうのが本当に苦手。だから「次は何をやるの?」って聞かれても、「全然わかりません」って答えるしかないんですよね。

 でもひとつだけ決めていることがあります。それは、チャンスが訪れたときは、必ず「Why not!(もちろんやるわ)」と答えること。これからも、自分の前に訪れるあらゆる機会に、「Why not!」という気持ちで臨んでいきたいと思っています。