同じものを食べ続けないほうが、内臓にかかる負担は減る。

「マウスも数種類使い、実験期間も変え、さらにはタンパク質・脂質・炭水化物のバランスを変えてみるなど、さまざまな手法で実験を重ねましたが、結果は同じ。これはやはり“何を食べていたのか”が関係しているのだろうという結論に至ったため、どの食材が重要なのかを明らかにするべく、さらに研究を続けました。現在の分析技術を用いれば、何が関与しているのか分子レベルではっきりと分かります。そこで、昭和50年当時の典型的な食事メニューにおいて、特徴的かつ登場回数の多いものを調査。すると、魚や海藻、果物、野菜、大豆製品、出汁や発酵食品、緑茶などが重要だというのが分かってきました」

「それも、例えば大豆が健康にいいからといってそれだけを継続して摂取するよりも、むしろいろいろな食材をまんべんなく、いろいろな調理法で食べているほうが体にいいという結果が出たのです」

「これを摂れば健康になれる」話題というと、例えばお茶に含まれるカテキンや人参のカロチノイドといった、ひとつの成分に特化したものがどうしても主流になる。しかし、どうやらそれは少し違うようだ。都築准教授は続ける。

「仮にAという成分と、Bという成分を組み合わせた場合、それぞれ単独での効果は高くても、組み合わせることでその効果が相殺されたり、逆に相乗されたりすることがあるのではないかと思います。現代の日本は、あらゆる食材が手に入り、またコンビニなどを利用すれば誰でも24時間好きなものを食べることができるゆえに、むしろ偏食傾向にあるのかもしれません。昭和50年当時の食卓のように、“お母さん”に強制的にいろんなものを食べさせられていたときのほうが、実は体のストレスは少なかったんです」

 食材の数を多く、またそれらを少しずつ食べることで、実は内臓にかかる負担が減少するのだとか。一瞬、逆なのでは? と思うのだが、「体にはあらゆる機構が備わっています。それは吸収機構と呼ばれる“食べ物を体内に吸収する回路”に関しても同様です。同じ食材ばかり摂取するということは、ひとつの吸収機構しか使わないということ。筋肉と一緒で、同じ箇所だけを繰り返し使い続けると、必ずその場所は疲弊し、バランスが崩れてうまく働かなくなってしまいます。ですが、食材が増えればそれぞれ異なる吸収機構が使われるため、負担が分散される。内臓にかかるストレスを減少することができ、ひいては老化を遅らせることにもつながるというわけです」