ファッションの楽しさって何だろう? 新しい服や小物を身につけたときに感じるあの高揚感を、今、再び思い起こさせてくれるアイテムとは? ファッションライターの栗山愛以さんがイラストとともにひもとくブランド連載。初回は〈ロエベ〉をピックアップする。

毎日が忙しすぎて、新しいファッションに気を回していられないあなたへ

 一日中ずっと身につける服や持ち物には、その人自身が表れると思う。ぺらぺらで安っぽい生地の服を平気で身に纏っていたりすると、そういう価値観で満足できるレベルの人なのかと残念になるし、手入れが行き届いていないと生活自体もだらしがないのだろうと推測する。忙しさにかまけて、馴染みがあって安心できるもので平均点程度にやり過ごそうとする人も多いかもしれないが、そんな姿を見ると、人間的にもおもしろみがないんじゃないかと勘ぐってしまう。
 三度の飯より服が好きな私ゆえの特殊な視点かもしれないが、何かの拍子に誰かにそんなふうに思われることのないように、時には新しいファッションに目を向けてみてはどうだろう。おしゃれをして、自分がワンランク上がったような気がして心がうきうきした経験は誰にでもあるはず。その気持ちも思い出してほしい。

高品質のレザーとクラフトマンシップを誇るラグジュアリーブランド〈ロエベ〉を学ぶ

 そこでまずお薦めしたいブランドが〈ロエベ〉だ。ちょっと年齢層が高いイメージ? とぼんやり思ったあなたは、もう古い。たしかに1846年スペイン・マドリードで創業された老舗ブランドだが、2013年秋に20代後半の青年が手がけるようになってから一変した。皮革工房からスタートしているため、革の質やテクニックはお墨付きで、今もそれは脈々と受け継がれているのだが、デザインが相当モダンになった。「モダン」とは何だ、と言われれば、ファッションにおいては今の気分が存分に表れている、ということで、「今の気分」とはどういうものだ、と言われれば、皆が何となく感じ取っている雰囲気のようなもので、それは日々せっせとファッションの動きを見ていないとわかりにくいものなのかもしれない…ともかく、私のようなファッションバカたちが条件反射的に「いいね!」ボタンを押してしまうほどのブランドに豹変したのである。私は誰に頼まれたわけでもなく、半年ごとに自腹でパリコレを見に行くほどのファッション狂なので、そこはだまされたと思って話を聞いてみてほしい。
 ファーストロエベは、やはりブランドの十八番、革製品がいいのではないかと思う。せっかくなら、実用的なバッグにしてはどうだろう。人気は「パズル」「ハンモック」「バルセロナ」である。
 「パズル」は新生ロエベのお披露目ショーで発表された。日本の折り紙に着想を得ていて、革をさまざまな形・大きさに精密にカットし、それらを複雑に組み合わせている。ハンドバッグ、ショルダーバッグの他、折りたたんでクラッチのように持つことも可能。3つの中では一番デザイン性が高いため、遊び心のある方にお薦めしたい。

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パズル レース スモール バッグ W29×H19×D14cm ¥333,000

 「ハンモック」は昨年の春から発売されている。マチ部分の出し入れやジッパーの開閉でフォルムや容量が変わる。名前の通りハンモックをイメージしていて、ややリラックス感がある。PCも入るので、荷物多めの人に最適。

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ハンモック レース スモール バッグ W29×H26×D27cm ¥297,000

 「バルセロナ」は80年代に発表されたアーカイブを参照したデザインで、トライアングルのクロージャーがアクセント。ストラップの付け外しでハンドバッグ、ショルダーバッグ、クラッチになる。荷物少なめでかっちりしたタイプが好みならこれだ。

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バルセロナ レース バッグ W24.5×H15×D8cm ¥333,000

 さて、実際に持つにあたっては、断然私がパリコレで目撃したロンドンベースのスタイリストさんを参考にしていただきたい。彼女は〈ロエベ〉のバッグをいろいろ持っていて、おそらくファン。トレンチコートをはじめ、ヴィンテージっぽい茶系メインの服装にぴったり合っていた。流行に関係なく日本人にも真似しやすいスタイルで、映画『アニー・ホール』が好き、とどこかで語っていたが、まさにそんな感じ。今回紹介した最新のレース編みが施されたデザインは、このムードにぴったり。ぜひとも参考にしてみてほしい。

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栗山愛以
ファッションライター。1976年長崎県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸専修卒業、大阪大学大学院修了。「コム デ ギャルソン」で広報担当を7年間務めた後、首都大学東京大学院を経てライター活動を開始する。現在は「GINZA」「VOGUE JAPAN」をはじめ、モード誌を中心に活躍中。毎年2回のパリコレクションに赴き、ファッションをこよなく愛する。
ロエベジャパン カスタマーサービス 
TEL.03-6215-6116

Text&Illustration: Itoi Kuriyama Edit: Yuka Okada