新しいファッションを知り、身につけると、気分が上がるし、周りの反応も違ってくる。今回は〈セリーヌ〉を、もっと深掘りしてみる。

女性が作る、どんな女性も受け入れてくれる、多面性のある服

 東京のストリートを見ているとバッグの知名度が断然高いように思われる〈セリーヌ〉だが、私はぜひ、服も手にとってみてもらいたいと思っている。シンプル一辺倒ではなく、装飾や遊びが加味されているデザインは前回紹介したバッグやストアと同様で、素材も上質。秋の新作は以下だ。

2017年フォールコレクション

 そして服についてもうひとつ言わせてもらえば、〈セリーヌ〉にはいつもスタイリングに驚かされる。タイツをはいてトングタイプのミュールに足を挿入してもいいのか!とか、クラシックな「クラスプ」バッグ、あえてストラップを持たずにクラッチのようにつかむのもすてきだ、とか、レギンスにヌーディーなサンダルが今またいいかも、とか。何をオタクが細かなことを、と思われるかもしれないが、ファッション飽和状態のこのご時世、「何を」だけではなく、「どのタイミングでどう着るか」までが重要であり、ちょっとした差が勝負(!?)のカギを握る。〈セリーヌ〉が打ち出すスタイリング術はつねに“ああ、今そのアイデアいいですね!”と膝を打つものばかり。ショーやルックブック、広告ヴィジュアルでスタイリングにも注目してみてもらいたい。

 で、こうした服は、どんな女性に似合うのか。

 それが、どんな女性にも似合うのではないかと思われるのだ。

 前回から強調しているように、〈セリーヌ〉はさまざまなイメージがひとつになっている。だから、私のようなパンク風味を好むハードなタイプから、カジュアル派の方、シックな大人の女性まで、誰でも、何かしら入り口が見つかり、ワードローブにもすんなり溶け込む。さまざまな面があり、ひとつに決めつけられたくない、という複雑な女心も汲み取られているような気もする。

 そんな多様な女性たちを知り尽くす〈セリーヌ〉だが、やっぱり女性が手がけている。フィービー・ファイロというイギリス人で、ファッションの名門ロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズ・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインを卒業後、〈クロエ〉のクリエイティブ・ディレクターを経て、2008年にセリーヌのクリエイティブ・ディレクターに就任した。そしてその忙しそうな最中、子供たちを育てている。頻繁にパーティを催してセレブと交流し、豪華なプライベートをSNSで披露するデザイナーは多いが、彼女はそのどれもやらず、メディアにもあまり出ない。仕事と家庭を両立させ、地に足がついたようなそのスタンスも、女性の共感を得るところが大きいのではないだろうか。ちなみに、美人である。しかし、それを鼻にかけるふうでもなく、いつもナチュラルなヘアメイク。先日姿を見せた、若手デザイナー支援のためのコンテスト「LVMHプライズ」授賞式で長かった髪をばっさり切っていたのがちょっとしたニュースになるくらい、メディアも何だか、憧れの女性を陰から見つめてうわさするみたいなかんじになっている。そして、女性デザイナー誰にでもいえることなのかもしれないが、自らが手がけるブランド〈セリーヌ〉をだれよりもうまく着こなしている。

 そんなすてきな女性が作る、どんな女性も受けいれてくれる〈セリーヌ〉。女性なら一度は試してみてほしい。

セリーヌ ジャパン
TEL:03-5414-1401

Text & Illustration:Itoi Kuriyama Edit:Yuka Okada 

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