グッチなどを擁するグローバル・ラグジュアリー・グループ「Kering(ケリング)」が、カンヌ国際映画祭との公式パートナーシップの一環として、2014年に立ち上げた「Women in Motion」。映画業界の女性の地位向上を目指すこのプログラムでは、映画祭期間中に女優たちによる本音のトークパネルも開催され、2017年は女優、ダイアン・クルーガーが登壇。私たちと同じく働く女性として、彼女が訴えたこととは?

「男すぎる」映画業界で、増えない女性スタッフと縮まらない賃金格差

フランスで活躍の後、歴史に残る絶世の美女ヘレンを演じた『トロイ』でハリウッドに進出。FX局のドラマ『ザ・ブリッジ 国境に潜む闇』では変人の凄腕女刑事を演じるなど、役の幅を広げるダイアン・クルーガー。© Venturelli/Getty Images for Kering

 2017年のカンヌ国際映画祭に赴いた河瀬直美監督が、かつてともに審査員を務めたニコール・キッドマンと久々に再会したときのこと。彼女が開口一番にこう言ったという。

 「今年のコンペティション部門で、女性監督の作品は何本だった?」

 結論からいえば、コンペ部門19本のうち、女性監督作品はたったの3本。70回を迎えた歴史の中で、最高賞であるパルムドールを受賞した女性監督は、ひとりしかいない。昨年、一昨年と米国アカデミー賞の候補者が白人だらけであることから「白すぎるオスカー」と話題になったが、それ以上に映画業界全体が「男すぎる」のは明白な事実だ。

 近年では出演料の格差にも、多くの女優たちが声を上げている。『イングロリアス・バスターズ』など数々のハリウッド作品で活躍、最新作の『In the Fade』では祖国ドイツの映画に初出演し、2017年のカンヌ国際映画祭で主演女優賞を獲得した女優、ダイアン・クルーガーは語る。

 「私自身、アメリカでは共演男優と同じギャラをもらったことがないわ。交渉に応じてもらえず、降板した映画もある。私がプロジェクトに費やす時間や努力、それを認めてくれない、敬意を表してくれる気がないなら、参加する価値はないと思う。もちろん様々な理由から、受けいれるしかない場合があるのも事実。でも、例えばジェシカ・チャステインのような大物女優が“同じギャラでないなら出演しない。この作品をやらなくても、女優としてのキャリアは終わるわけではない”と言ってくれることは、すごく嬉しいことよね」

『ゼロ・ダーク・サーティ』では、オサマ・ビン・ラディンを追いつめたCIA女性職員を演じたジェシカ・チャステイン。人気と実力を兼ね備えた、ハリウッドの美しくタフな女性アイコンの一人。2017年カンヌ国際映画祭では審査員の一人を務めた。© Venturelli/Getty Images for Kering