2017年に就任したトランプ大統領の女性蔑視的な態度を受け、再び注目を集めるようになった女性の社会的地位。世界のそこここで起こる様々な運動に、ダイアン・クルーガー自身、触発されることも多いとか。だがそうした動きのなかにあっても、古い時代からある「求められる女性像」を演じてしまう自分、周囲から与えられるそうせざるをえないプレッシャーを感じることも少なくないとも話す。

「映画の現場に限ったことではなく、女性として生きていくうえで、そういうものは常に感じているわ。何かを求めているとき、考えや意見を述べたいとき、どうしたら私の要求を聞き入れてもらえるか、あれこれ考えてしまうのよ。つまり、どうしたら“嫌な女”と思われずにすむか、相手をどうやっておだてればいいか、なんてことをね。男性であれば“熱心な役者”“最高の俳優”と称えられるような場面で、女性は“きつい女”“嫌な女”と言われてしまうの」

受け身にならず、恐れずに、自分でつかみ取る権利

 それでも、今の時代を動かすのは女性たちだと、彼女は信じている。SNSを通じて自分の存在感を高めるすべも持ち、やりたいとさえ思えば何でもできる若い世代の女性たちに対して、40歳になった彼女ができることは「ロールモデルとして“生き方”を見せること」だと語る。

「誰だって周囲から“あの人とは仕事がしやすい”と思われたいものよね。だからもちろん意図的にぶつかることはないし、相手には敬意を払うべきだわ。でも最終的に一番大事なのは自分がどう扱われたいかだと思う。つまり“言いたいことを言う権利”や“敬意”は、自分でつかみ取っていくしかないの。受け身にならず、ダメなものはダメ、受けいれられないものは受けいれられない、要求があれば要求する――恐れずに。映画業界という世界で長く生き、年齢を重ねるにつれ、私も“周囲にどう思われたって知ったことじゃない”と思えるようになったわ。だって私は一生懸命やっているんだから。時間には遅れず、セリフもちゃんと覚え、仕事に本気で取り組んでいる、ならば共演男優と同じ敬意を示してくれるのが当たり前であってほしい。ただそれだけなのよ」

 「女性だから」求められること、「女性だから」ためらわれること――そんなものは何もない。まずは女性から、意識を変え、声を上げていくことが必要なのかもしれない。

大ヒットドラマ『アグリー・ベティ』などで製作者としてもその実力を認められる女優サルマ・ハエック=ピノー(写真右)も、パワフルなフェミニズム論を展開。ケリングの会長兼CEOフランソワ・アンリ・ピノーの妻であり、このプログラムの陰の立役者ともいえる。© Venturelli/Getty Images for Kering
ウーマン イン モーション

Text:Shiho Atsumi Edit:Yuka Okada