7月21日の記事で先行公開した、カルティエの最新ハイジュエリー・コレクション「レゾナンス ドゥ カルティエ」。洗練されたデザインは、どういったプロセスと技術で、息をのむようなジュエリーとして完成するのだろうか。NikkeLUXEは今回、同コレクションのチャプター2を制作中の、カルティエのアトリエをたずねた。

ひとつ屋根の下にまとめられた、ハイジュエリーづくりのA to Z

 カルティエのハイジュエリーは、パリ2区ラペ通り13番地、カルティエ ブティックの上階でつくられる。今回の取材の案内役は、アトリエのディレクター、イヴ・プルドン氏。彼はこの場所の意味を、こう総括する。「このアトリエは、“顧客から一番近い場所”に、2005年に開かれました。その目的は、制作のすべての過程をひとつ屋根の下にまとめ、ハイジュエリーのA to Zをここでつくることでした。すべての過程、全種の仕事をコントロールすることは、とても大切なのです」。

 ジュエリーづくりのプロセスをざっと紹介すると、まずは、ジュエリー職人が手作業で“空枠”をつくる。つまりゴールドやプラチナの本体の象(かたど)りから、石セッティング用の穴開け、爪部分の制作と本体への溶接まで。この後、空枠は石留め職人の手に渡り、穴のサイズが測定される。これに従ってアトリエ・チーフが指示を出すと、カッティング職人は石のサイズや形を綿密に調節し、研磨職人が準備された石と空枠の両方を磨く。一方、デザイン自体のインスピレーションとなった主役の石を迎えるパーツでは、逆に既存の石に合わせてセッティングの準備がされる。数種ある方法のうち、プルドン氏は、高度な技術を必要とするグレイン・セッティングについて説明してくれた。

「セッティングでは、ひとつの石を6つのグレイン(爪)が取り巻いています。つまり500粒の石には、3000ものグレイン。石をセットしたら、グレインを石の上から叩いて潰し、先端をペルロワール(ペンに似たツール)で滑らかにします。ひとつも忘れないように、また石を傷つけないことが必須な、とてもデリケートな作業です」。セッティングが終わったピースは再びジュエリー職人の手元に戻り、安全性やつけ心地のチェックを受ける。そして最後にもう一度、全体を研磨。

「こうして幾つかの異なるテクニックが、職人たちの間で交わされます。一つのピースは、ジュエリー職人と他のプロセスのエキスパートとの間を、幾度となく行き来するのです」。プルドン氏曰く、複雑なピースでは、仕上がりまでに約3000時間もの作業を要するという。