ウォンツを刺激しつつ、顧客の声に寄り添う デマンドビジネスに変革させる。

 伝統を守り、革新を続けるラグジュアリービジネスは、常に人々に魅力を提供し続ける使命を追っている。中でも成功のカギを握るのは、「商品そのものであり、ウォンツを刺激することです」と三木社長。携帯電話が一般化した今の世の中では、極論すれば時計は不要なもの。それでも、「カルティエ」の時計が欲しい、「ピアジェ」の宝飾が欲しいと思ってもらうために、「プロダクトの価値を高め、ブランドイメージによる価値をしっかりと伝え、高額品を購入してくださる顧客に対するサービスのレベルを高めていくことが不可欠。だから、セールスアンバサダー(販売スタッフ)の重要性はますます高まっています」。

 個に対するサービスの強化も打ち出す。「パーソナライゼーションやカスタマイゼーション、そして、一人ひとりのデマンド(要望)に対していかに応えていけるか。それこそが、ラグジュアリーブランドが生き残っていける道。情報の伝達もブランド側から顧客に向けた一方向のコミュニケーションではなく、よりインタラクティブ(双方向)なものに変わっていくのだと思います」。

「カルティエ」や「ヴァン クリーフ&アーペル」などのジュエリーブランドでは、ハイジュエリーをさらに強化し、一点ものといわれる、まさに究極の商品を厚くしていく。「価格帯は高くなりますが、ラグジュアリーブランドとしてのステータスとサービスを高めながら、そこにデジタルなどコミュニケーションツールなどを活用し、一人ひとりのお客さまに情報をお届けし、情報や要望をいただき、それを商品やビジネスの提案につなげていきたいと思っています」。

 そのひとつが、顧客向けの多彩なイベントである。最近では「カルティエ」や「ヴァン クリーフ&アーペル」が京都や上野でお客さま向けの受注会を開催し、ブランドのクリエイションや世界観をいかんなく発揮。VIPの顧客ツアーにも力を入れており、国内外への招待イベントも定期的に行っている。「日本には1700兆円の個人資産があるといわれています。世界的にいわれていることですが、日本はとても優良なマーケットです。向こう10年は富裕層が増えることはあっても、減ることはないといわれています。ポテンシャルは大きい。この層の方々にアプローチし、ウォンツを掘り起こしていきます」。

富裕層向けの一方で、ミレニアル世代向けのアプローチも強化。「カルティエ」ではアイコン的な時計“パンテール”のニューローンチとして、新規顧客を掘り起こすイベントをTRUNK (HOTEL) で開催したり、いち早くエントリープライスの“アミュレット”を投入するなど、宝飾グループの先陣を切って、新たな層の開拓に取り組んでいる。リシュモン ジャパンの施策は宝飾・時計業界のひとつの指針となっていくことだろう。

“パンテール ドゥ カルティエ”の復活を祝してTRUNKで開催されたイベントの様子。