服や小物、宝飾などを扱うファッションブランドのCEOにインタビューするNikkeiLUXEオリジナル企画。今回は、日本でショーを行うために来日した「アニオナ」CEO、アレッサンドラ・カッラ氏にインタビュー。高い技術力で織り上げた美しいファブリックからスタートし、今やラグジュアリーブランドとして確固たる地位を築く、そのブランドの背景を探ります。

ポテンシャルは十分、スリーピング・ビューティの魅力を目覚めさせる

 キラ星のごとくひしめき合うラグジュアリーブランドの中でも、確固としたオリジンを持ったブランドには、格別の魅力や強さがある。革製品の馬具から始まった「エルメス」、旅行鞄から発展した「ルイ・ヴィトン」、そして、ファブリックメーカーから始まった「アニオナ」は、その代表的ブランドといえる。

 アルプス山脈で2番目に高い、イタリア・モンテローザの麓の村で創業したのは、1953年のこと。カシミヤをはじめとした高級素材を、高い技術力で織り上げたやさしく美しいファブリックは、60年代以降、「バレンシアガ」「バルマン」「カルダン」「クレージュ」「ディオール」「ジバンシイ」「エルメス」「イヴ・サンローラン」など、世界的なメゾンに愛用されてきた。70年代にはプレタポルテの世界に飛躍。キャリアウーマンやセレブリティに愛される、コート、セットアップ、ニットなどの“完成されたアイテム”を販売。そこから、2013年に「イヴ・サンローラン」出身のステファノ・ピラーティがクリエイティブ・ディレクターとして“洗練されたファッション”を、2015年にクリエイティブ・ディレクターに就任したサイモン・ホロウェイが、より女性のライフスタイルに寄り添うような、フェミニンでピュアでタイムレスな“リラックス・ラグジュアリーというスタイル”を打ち出してきた。

 2014年にCEOに就任し、おっとりしたイメージのアニオナに情熱を注ぎ、ストラテジー(戦略)を立てながら、潜在能力を発揮させようとしているのが、アレッサンドラ・カッラさんだ。「『アニオナ』は、厚くて硬いファブリックしかなかった時代に、柔らかくて美しい最高級のカシミヤのファブリックを開発したイノベーター。素晴らしいアーカイブや写真が今も多く残っています。ハイクオリティなモノづくり力があるこのブランドで働くことに、誇りを持っています」。

エルメスやイヴ・サンローランなど、さまざまなメゾンに素材を提供してきたアニオナ。(左)Historical Image from the Agnona Archives in which you can find coat in Agnona fabric. (右)Caban coat in Agnona fabric / 1967

 トラサルディ、ヴァレンティノ、ラルフローレン、エミリオ・プッチ、そしてアニオナCEOと、着実にキャリアを重ねてきた人物。なぜ、アニオナに転じたのか?「歴史と技術力のある素晴らしいブランドだったからです。美しくて希少なブランドですが、ディスクリート・ラグジュアリー(控えめなラグジュアリーブランド)であるため、喧伝することなしでここまできたんです。あらためてその良さを再発見しながら、世の中の人々にそれを伝えていくことで、ブランドはさらに成長を加速できる。大きなポテンシャルを感じて、挑戦することに決めました」。

 とくにモノづくり力については、「素材の調達や紡績、ファブリックの生産、デザイン、縫製、仕上げなど、バーティカル・インテグレート(垂直統合)と呼ばれる製造小売業として全ての段階で品質をコントロールすることで、上質なクオリティを提供することができています。『アニオナ』は、ユニークなポジションを確立できています」と自信を見せる。