服や小物、宝飾などを扱うファッションブランドのCEOにインタビューするNikkeiLUXEオリジナル企画。今回は、日本でハイジュエリーの発表を行うため来日した「ブシュロン」CEO、エレーヌ・プリ=デュケンさんを尋ねた。

美しさと永遠性に魅せられて

 4つの素材・デザインを組み合わせた“キャトル”や、守り神の象徴であるスネークをモチーフにした“セルパンボエム”、ユニークなアニマルコレクションなど、インパクトのあるデザインで知られる「ブシュロン」の創業は、今から約160年前の1858年にさかのぼる。パリのヴァンドーム広場に最初にブティックを構えたジュエラーであり、グランサンク(五大ジュエラー)の中でも敬意を払われている。

 そんな歴史と革新性を兼備するジュエラーを2015年から率いるのが、CEOのエレーヌ・プリ=デュケンさんだ。「ジュエリーはそれ自体が美しいもの。同時に、女性を美しく輝かせるものでもあります。母から娘へ、そしてその子どもへと受け継がれる、タイムレスでエタニティ(永遠)な部分も魅力です。だから、私は自分の仕事がとても好きなんです」。

 21世紀にさしかかる頃の日本の人気恋愛小説は「冷静と情熱のあいだ」だったと記憶するが、エレーヌさんはまさに冷静と情熱のあいだを行き来しながら、仕事と家庭、ビジネスとクリエイションを見事に成立させている。

 キャリアをスタートしたLVMH時代には、マーケットや経済に応じてブランドやストアのポジショニングの最適化を担当。後にリシュモン グループとなる直前のカルティエに移ってからは、宝飾・時計界の世界ナンバーワン企業で取締役としてマーケティングを中心に手腕を振るった。やりがいは大きかったけれども、「何年も宝飾業界で働く中で、ハイジュエリーの分野で長い歴史と多くのレガシー(遺産)があり、創業者のフレデリック・ブシュロンから受け継いできた革新的でクリエイティビティに溢れるDNAを持つ『ブシュロン』に興味を惹かれていきました」と明かす。