美しいAラインのスカートに、仕立てのよい白のトップス、そしてシルバーとパールの輝きを纏って現れた書家/アーティストの紫舟氏。その凛としたたたずまいに、さらなる洗練の華やぎを添えるのがゴールドに輝くTISSOT(ティソ)のヘリテージ バナナ センテナリー エディション、通称「バナナ・ウォッチ」だ。その優美なフォルムと革新的なデザインで、かつて帝政ロシア皇族ロマノフ家をも魅了した伝説のタイムピース。幾度も復刻・ブラッシュアップを重ね、「伝統に根ざし、伝統を打ち破る」TISSOTならではのエレガンスを纏い、自身も日本の伝統文化である「書」を追求・進化し続ける紫舟氏が語る、本質を表現すること、そして価値ある時間とは。

書という伝統、そして新たなる挑戦と革新。

 私はとにかくものづくりが好きでして、個展などの有無にかかわらず、常にものをつくり続けています。アトリエではもちろん、⾃宅でも下絵を描き、複数の事を同時進⾏で考えながら構想を練ります。作品のテーマとなる⽂字を⾃分の内に求め、丁寧に⾃分⾃⾝と向き合い、⼼が感じたものを表現します。そして実際の制作に取りかかるときは、無⾳の中でひたすら⼀点に集中するようにしています。初期に制作した作品に、漢字⼀⽂字の「夢」があります。すでに成約し、原画はお客様がお持ちですが、長く複製の依頼が続き、⼈気は不動です。その当時の私の願った思い、そこに込められたパワーが、今でも⾒る⽅の⼼に強く訴えかけるのかもしれません。2006年から始まり、毎年開催されている「ラブレタープロジェクト」や、2011年に⽴ち上げた東⽇本⼤震災復興⽀援活動「⽇本⼀⼼プロジェクト」のために書いた「⽇本⼀⼼」の書も、筆から⽣まれる想いをしたため、そのパワーの可能性を追求する⽂化活動です。

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書のキュビズム「美」
筆が紙を泳ぐ(書く)とき、紙に深さ(圧)を感じている。 文字を書く時間軸と、一筆(ワンストロー ク)の中にある深さ強さ、そして紙にかすかにふれる弱さを可視化した、文字が360度鑑賞できる作品。

 6歳から書に触れてきた私は、書家になった当初から、⽇本の⽂化を世界に発信したいという思いが常にありましたので、2005年のヴェネツィア・ビエンナーレを⽪切りに、2014、2015年のルーヴル美術館Carrousel du Louvreでの「フランス国⺠美術協会展」など、海外での展覧会も数多く開催してきました。同時に、書を“平⾯”から“⽴体”へ昇華した「書の彫刻」や、書とデジタルテクノロジーを融合させたメディアアートなど、新たなジャンルにも精⼒的に挑戦してきました。2018年もアラブやミラノでの個展を予定しています。作品としてうまく成り立つかは、空想よりまず手を動かし作る“実験”をしてみないとわからないため、とにかく数多く作品をつくり続ける。そうして出来上がる作品を“分⺟”にして、さらに作品をつくっていくと、そこから⼼を動かすものが必ず出てくると信じています。そして、もうこれ以上はできないと限界を感じた瞬間に、あらためて改善の余地やできることが⾒えてきます。そうやって私⾃⾝、書という伝統をふまえて作品づくりを重ね、常に進化できればと願っています。