同僚が、友達を超えて家族になる国

 そしてシンガポール人は、同僚でもいったん心を開くと、友達というより家族のように接してくれるのが心強いという中野さん。
「日本だと親しい間柄でも、ある程度の距離を保って接しますが、シンガポール人はそれを超えて、家族のように接してくれます。はじめは戸惑う部分もありましたし、お節介だなと思うこともありましたが、腹を割って話せる間柄になると大変心強いです」
 中野さんにとって、シンガポール人は全体的に親切な人が多い印象のようだ。道をたずねればその場所まで一緒についてきてくれたり、傘がなければ一緒の傘に入れてくれたりと、人情味溢れる人たちだという。それも中野さんの仕事の原動力のひとつになっているのだろう。

古出祥子さん 38歳 外資系証券会社 企画営業の場合

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 古出さんは青山学院大学を卒業後、アメリカの大学に留学。留学中のインターンシップで知り合った人に、シンガポールにはバイリンガルの日本人は多くの就労機会があると聞き、思いきってシンガポールに本社を置く証券会社に応募した。結果、見事に現地で採用され、海外で仕事をする幸運に恵まれた女性だ。
 現在の仕事は、主にシンガポールやアジア在住の日本人に金融商品やサービスを勧め、口座開設から金融商品の取引に関するサポート、情報提供などをすることだ。「シンガポールで就職して2年弱になりますが、ジョブマーケットが充実しているせいか、短いスパンで転職する人が多いですね」と語る。確かにシンガポールに住んでいると、転職を目まぐるしく繰り返す人の話をよく耳にする。経営者にとっては頭の痛い話だが、旧態の終身雇用から離れていく日本の若者たちと状況が似ているかもしれない。

「失敗してもいいから、チャレンジを」

「シンガポールの会社で好きなところは、失敗に寛容な雰囲気があるところです。間違ってもいいから、チャレンジすることが求められているように感じます。一方で大変なのは、会社のオペレーションや規則などが前ぶれもなく変更されたり、未経験の事をいきなり任されたりすることですね。現時点では、それはそれで楽しんでいますが、効率を重視しない業務のやり方や、意外に組織が封建的な面もある点には、なかなか馴染めないですね」と苦笑いする一面も。