今年で90歳を迎える巨匠、フランク・ホーヴァットの写真展が、1月17日(水)から約1カ月間、銀座のイベントスペース「シャネル・ネクサス・ホール」で開かれる。日本国内では初の本格的な個展となる今回の展覧会のタイトルは、“Un moment d’une femme”。女性が美しく輝く瞬間をとらえた作品を中心に、写真を通して彼の彩りにあふれる人生が浮かび上がるような構成となっている。

女性のヴィヴィッドな瞬間をとらえる写真の魅力

Quai du Louvre, couple, 1955, Paris, France © Frank Horvat
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 1950年代より、報道写真からファッション写真まで、幅広い分野で活動してきた写真界の巨匠フランク・ホーヴァット。当時はイタリア領で現在はクロアチア領のオパティヤに生まれ、フランスを拠点に、90歳を迎えて今なお現役で活躍するこの著名な写真家の、日本では初めてとなる本格的な個展が開催される。

 展覧会のタイトルのとおり、ある「女性の一瞬」を切り取ったシーンを通奏低音として、彼の代表作をはじめ、ジャーナリスティックな初期作品、私的なプロジェクトなどが出展される予定だ。

 1940年代、時代を席巻したフォトジャーナリズムに触発され、写真家としてのキャリアを開始したホーヴァットは、インドやパキスタン、英国やヨーロッパ全土と、世界中を渡り歩きながら「パリ・マッチ」「ピクチャー・ポスト」などの雑誌に寄稿する。

 1954年、パリに拠点を置くと、美の殿堂であるこの都市のモードとそれをまとう女性たちに魅了され、ファッション写真の仕事にフォーカスするようになる。そのアプローチは従来のように気取ったポーズで服を強調してみせるものとは大きく違っていた。モデルの突発的なポーズや、一風変わったレイアウト、偶然そこに居合わせた人物を取り込む構図といった、ルポルタージュ的な実験精神に満ちていたのだ。

For “STERN”, shoes and Eiffel Tower, 1974, Paris, France © Frank Horvat
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 やがて女性を撮ること自体に虜となったホーヴァットは、作品の主題を、より無防備でさりげない色気が引き出された女性像へと近づけていった。ときにファニーでコケティッシュ、ときに挑発的な冒険心を見せる女性たちは、モデルという役割の枠組みから逸脱し、“生きた女性性”のもつ魅力にあふれている。

 4つの言語を流暢に操り、執筆も手がけるホーヴァットは、1980年代後半には、エドゥアール・ブーバ、ロベール・ドアノー、サラ・ムーン、ドン・マッカラン、ヘルムート・ニュートン、マルク・リブーら、写真家仲間へのインタビューをまとめた書籍を出版。また1990年代にはデジタル写真に着手し、フォトショップのアプリケーションを最初に作品に試した写真家のひとりといわれている。2011年には、彼自身が作成した最初のiPad用アプリ「Horvatland」を公開。今年卒寿を迎える年齢を忘れさせるほどの旺盛な好奇心と創作意欲が、ホーヴァットの作家人生を鮮やかに彩っている。

フランク ホーヴァット写真展 Un moment d’une femme
会期:1月17日(水)~2月18日(日) 12:00~20:00 無休
会場:シャネル・ネクサス・ホール(東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F)
入場料:無料

Text: Chie Sumiyoshi Edit: Kaori Shimura