注目のアーティストのアトリエから、作品のメッセージやアートの核心を伝えるシリーズ企画。今回は日本画の画材を用い、1980年代から樹をモチーフにした絵画を40年余りにわたって描き続ける画家、日高理恵子さんのアトリエへ。

自宅の庭の木蓮を見上げる日高さん。長きにわたり樹々を、枝を、葉を見上げ、さらにその先に広がる空との関係を見つめ続ける。

絵画でこそ生み出せるもの

 東京・多摩地区、多摩川の流れがつくった台地の閑静な住宅街に画家の自宅はある。日高理恵子は、このアトリエで30年以上にわたり樹を描き続けてきた。その描かれる樹の多くは、自宅の庭や近くの神社にある樹々である。

 日高は2017年、「空と樹と」と題する個展を静岡県・三島にあるヴァンジ彫刻庭園美術館でおこなった。そこで発表された新作は、すべて庭の一本の木蓮を描いた連作となっている。今回、その庭の片隅に立つ木蓮を案内してもらい、日高が制作の日々でおこなったように、下から見上げてみた。すると、たしかに日高の絵にある構図を見つけることができる。作品を見たときの力強い印象に比して、実物の小ぶりさに驚いた。日高はこの小さな樹を数年にわたり描き続け、一枚のドローイングを描くのにも何カ月という途方もない時間を、その下で過ごしていたのだ。思わず同じ構図を探して手元のiPhoneで写真に収めてみた。しかし、日高の描いた絵画とは(当たり前なのだが)やはり、なにかが違う。

アトリエといえど、自宅2階にあるごく普通の一室が日高さんのアートが生まれる場所。制作はときに中央のテーブルにパネルを置き、ときに右のつっぱり棒にパネルを立てかけておこなう。

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