「そして実際にこの距離感を絵の上で探っていくと、現実の距離や奥行きを感じさせてしまう光や影を、削ぎ落とさざる得なくなって、今回の制作にあたってのドローイングはこれまで同様、さまざまな天候、時間、光のもとで描いた一方で、ペインティングでは、たとえば日が沈み、かすかな光のもとで見る樹の見え方、光と影によるものとは違う見え方を描きたくなりました。かすかな光のもとでの枝葉は、色として黒々と、そこに〈在る〉という存在を放ちながら、ある種とてもフラットで、シルエットのようにも見える。でも、実はそこにもそれぞれの枝、葉の間にまさに測り知れない距離が存在していて、このわずかな差異の中にこそ、途方もない距離が存在しているように感じたんです」

絵の変化が見て取れる最新作、《空との距離XlV》2017 麻紙・岩絵具 240×240cm