「樹を見上げて描く」という独自の表現の変遷にせまった前編に続き、この後編では大きな変化を経た日高理恵子さんが見上げ続ける空と樹に、私たち一人ひとりの人生をも重ね合わせてみたい。

アトリエでの日高理恵子さん。笑顔の合間で真摯に言葉を選びながら、語り口はいたって穏やか。

絵の変化の背後にあるもの

 2002年から現在まで続くシリーズ「空との距離」は、ある人の言葉がきっかけとなって始まった。

「美術批評家の中村敬治さんが1990年に『見えるものを描き写しながら空間という無限を体感しようとしている』と書いてくださった展覧会評のタイトルが、「空との距離」というもので。この言葉は時間がたつにつれて、自分が追い求めたいひとつの指標のようになってきたんです。ただ、『空との距離』は、追えば追うほどほんとうに次へ次へと遠のいていくので、これまでで最も長く、いまだに続くシリーズになっています」。

最も長く取り組むところとなったシリーズより、《空との距離l》2002 麻紙・岩絵具 240×240cm 広島市現代美術館蔵

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