アートジャーナリストの住吉智恵さんが、開催中の展覧会や舞台芸術、注目のカルチャー情報から、未来への道標を探る連載「アートと○○」。第3回は「アートといきもの」をテーマに、20世紀を通じて活躍した洋画家であり、猫好きとしても知られる猪熊弦一郎の展覧会と、やはり愛猫家である画家・絵本作家のミロコマチコの個展を対比する。

猫を愛するがゆえの挑戦。猪熊弦一郎の二つの目線が捉えたもの

 香川県高松市に生まれ、パリでアンリ・マティスに師事し、ニューヨークを拠点に20年におよぶ活動ののち、東京とハワイを行き来しながら生涯現役で絵を描き続けた画家・猪熊弦一郎。

 多いときは12匹の猫の多頭飼いをしたほど、夫妻ともに猫好きだった彼は、常にそばにいる複数の猫たちを目に入る端から描いていたともいわれる。その軽快な筆致には、モチーフとしての猫の形や色を探求した画家の鋭利な視点と、家族としての猫の表情やしぐさの面白さと愛らしさにメロメロに細められた目つきが共存する。