「ここ数年、神々や自然への礼拝、畏敬をもってつながるための儀式のことを思い出すことが多くなりました。目に見えないものへの畏敬の念を抱かせる新しい儀式をつくることが現代にも可能なのか。その問題意識とともに、あくまで舞台芸術として現代の文化と身体性を提示する作品にしたい」(向井山)

 #MeToo問題などセクハラ事件を契機に、大相撲の土俵の禁忌といった、古来、男性社会のなかで培われてきた伝統文化における女性の位置づけの問題も、また議論の的となっている。自然発生的に女性のアーティストたちの主導で創作される本作は、歴史と因習の延長上にある女性の立場について顧みるひとつのきっかけになるかもしれない。

 本作タイトルを聞いて、子どもの頃から好きだった19世紀フランスの画家ギュスターヴ・モローの絵画『雅歌』(大原美術館所蔵)を思い浮かべた。旧約聖書に想を得て描かれたというその神話的な人物像は、花嫁の衣装をまとい、一説にはサロメともガラテアともいわれながら、同時に両性具有的な身体をもち合わせている。

 2018年に生きる私たちは「女性性」「男性性」について、あるいはそれらを超越した精神性について、どう捉えていけばいいのか。性差を超えてパワフルに、しなやかに活躍する二人による本作『雅歌(GAKA)』は新たな視点を投げかけるだろう。


日本・オランダ国際共同製作『雅歌(GAKA)』初演ツアー
6月15日(金)~24日(日) ウーロル・フェスティバル(オランダ・テルスヘリング島)
7月13日(金)~14日(土) 高知県立美術館・中庭(高知)
7月21日(土)~22日(日) 神津島・前浜海岸(東京)
高知講公演問い合わせ先:https://moak.jp/event/performing_arts/mukaiyamatomoko_gaka.html
神津島公演問い合わせ先:gaka.team2018@gmil.com(一般社団法人マルタス内GAKA公演担当)


Text: Chie Sumiyoshi Edit: Kaori Shimura

バックナンバー