銀座の中心に誕生し、大きな話題を集めている商業施設「GINZA SIX」。そのなかにショップを構える酒販店「IMADEYA(いまでや)」が、主力商品として打ち出しているのがヴィンテージの日本酒である。なぜ日本酒を熟成させることに注目したのか? そこに至る経緯や今後の展開を、代表取締役社長・小倉秀一さんに聞いた。

世界への発信力を持つ銀座をステージに、日本酒の付加価値を考えた結果

「IMADEYA千葉本店」の奥に併設する熟成庫の一角。「新政」「まつもと」「山形正宗」などの日本酒のほか、日本ワインも並ぶ。カードには、銘柄と共に解禁日が明記されている。約1000本が眠る「新政 ラピスラズリ 2015」は、2018年にリリース予定だ。

 2017年4月20日、華々しく開業した「GINZA SIX」。中央通りに面したまさに銀座の一等地だ。「この場所への出店を決意するのに、決め手のひとつとなったのが“日本酒のヴィンテージ”でした」と語るのは、「IMADEYA GINZA」を手掛ける、株式会社いまでや 代表取締役社長・小倉秀一さん。「世界中から人が集まるマーケットで勝負することを考えたとき、同じタイミングで構想していた古酒の存在が、背中を押してくれました」。

株式会社いまでやの代表取締役社長・小倉秀一さん。千葉本店の熟成酒が揃う棚には「木戸泉」「石鎚」などが並ぶ。小倉さんが手に取っているのは、滋賀県の冨田酒造が醸す「七本鎗 山廃純米 琥刻」。2010年から2015年の6年分が並び、価格は¥1,800~3,000。

 小倉さんは、1962年、千葉にて創業した酒販店「いまでや」の2代目。およそ30年前、25歳のときに家業を継いだ。当時、日本酒のジャンルでは先駆者がいたので、その背中を追い蔵元と直接取引を始め、現在でも取り扱い銘柄を増やしている。先駆者がいなかったワインにおいては、直輸入をスタートし、創成期だった日本ワインにも力を注いだ。またface to faceを大切に考える小倉さんは、お酒を実際に提供する飲食店スタッフを対象としたセミナーを開催。現在でも、千葉本社と銀座支社にて、月に3~4回のペースで行われている。

 自らの足で酒蔵を訪れ、酒を利き、話をする。月の1/3から半分は、国内外を飛び回っている。そんななかで、小倉さんは蔵の隅に眠っていた年代物の日本酒の存在に注目する。「蔵人たちは、どう扱っていいかわからないと言うのだけれど、口にしてみると実に美味しい。日本酒もワイン同様にヴィンテージという価値を楽しむべきだと強く思いました」。

2002年に移転リニューアルした「IMADEYA千葉本店」。ロゴデザインは望月通陽さんによるもの。広々とした店内には、壁一面に日本酒の冷蔵庫が並び、ワインや焼酎、梅酒を販売する。ゆっくりと買い物ができるよう、アットホームで温かみを感じるつくりになっている。