芸術家たちをも惹きつけてやまない、“自然”と“美”と“美食”を堪能できる館

 ピカソやルノワール、コクトーらを魅了し、マティスが晩年にロザリオ礼拝堂を手掛けたことでも有名なヴァンス。かつて中世に外敵から村を守るために岩山の頂に築かれた幾つもの集落は“鷲の巣村”と呼ばれているが、ヴァンスもまたその村のひとつである。ヴァンスの丘に建つシャトー・サンマルタン&スパは、12世紀にテンプル騎士団が贅を尽くして建てた古城だったという由緒あるシャトー・ホテルだ。世界中の厳選された最高級ホテル10軒のみが加盟するオトカーコレクションのメンバーでもあるこのホテルは、バウーと呼ばれる雄大な岩山に囲まれており、坂道を車で上っていくと厳かな鉄門がゆっくりと開き始める――。糸杉がすらりと伸びる庭の奥、蔦(つた)の絡まる館が、訪れるゲストたちを温かく迎えてくれる。

 歴史ある騎士団の城塞跡であるこのホテルにはチャペルがあり、おごそかに挙式が行われることも。青々としたオリーブの木や、ジャスミンやラベンダーなどの花々が咲き誇る庭でウェディングパーティを開くことができるというのも、人気の秘密だ。さらに、5つのエステキャビンがあるスパ サンマルタンには二人用の部屋もあるので、挙式の前に婚約者と共にラ・プレリーのエステやキュア・バザーのネイルサービスを受け、翌日迎える人生の記念日に備えてふたりで美しさに磨きをかけることもできる。挙式後にハネムーンで訪れるのもお勧めだが、このホテルでブライダルを行うのも素晴らしい思い出となるだろう。

テラスから紺碧の海とヴァンスの街を一望できる、南仏の極上チャーミングホテル

 フランスでの滞在先を決める上で、美食もまた重要な鍵を握るはず。シャトー・サンマルタン&スパでは、ミシュラン1つ星のガストロノミックレストラン“ル サンマルタン”と、ハイシーズンに中庭に設けられる“ロリヴレ”での食事が楽しめる。シェフのジャン=リュック・ルフランソワが腕を振るうフレンチはどの料理も逸品だが、特に魚料理がお勧めだ。繊細な風味の魚介類の火の入れ加減が絶妙で、素材の持ち味を存分に引き出している。

 また“ル サンマルタン”のテラスは、世界中の高級ホテルがそれぞれの魅力を競い合うコンクール“Prix Villégiature(プリ・ヴィレジアトゥール)”でベスト・テラス部門の大賞を2016年に獲得。さらに2013年には同コンクールのベスト・チャーミングホテルのカテゴリーでグランプリを受賞したことでも注目を集めている。

 ホテルの敷地には6000本以上のワインを保存するカーヴもあり、プロヴァンスのワインをはじめとする様々な種類のワインを料理とともに味わえる。プライベートランチやディナーを開くことができる優雅なヴィノテックも見逃せない。

 さらに特筆すべき点は、このホテルは本館に加えて6つのヴィラがあるということ。樹齢約100年といわれる1300本ものオリーブの木が取り巻く広々としたヴィラにはキッチン付きの部屋もあり、まるで南仏の家で暮らしているかのように過ごせる。ありきたりのホテルでの宿泊ではなく、ワンランク上の滞在を望む旅の上級者たちの心をしっかりと掴んでいる所以だ。

 ゲストの客室に用意されているウェルカムチョコレートは、シャトー・サンマルタン&スパと同じオトカーコレクションの姉妹ホテルにあたるホテル・デュ・キャップ・エデンロックのシェフパティシエ、リリアン・ボンヌフォアが手掛ける逸品。リリアン・ボンヌフォアのチョコレートは毎年、日本のサロン・デュ・ショコラに出品されて人気を博しているとあって、ショコラファンならずとも嬉しいギフトだ。

 昨秋から半年間の冬期休暇の間に大々的なリノベーションを行い、4月23日からはいっそう美しく生まれ変わった姿で顧客たちを新たに迎えてくれるシャトー・サンマルタン&スパ。ますます磨きをかけたこのシャトー・ホテルから目が離せない。

Château Saint-Martin & Spa
2490 avenue des Templiers, 06140, Vence, France
TEL:+33 4 92 93 76 29
料金:1室720ユーロから
アクセス:ニース空港から車で45分
日本でのお問い合わせ先:03-5436-8110(ザ・リーディングホテルズ・オブ・ザ・ワールド)

Text :Masae Hara

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