上質とカジュアルが共存する、シンプルながら存在感を放つ空間

 東京・西麻布の交差点からすぐの静かな通りに、ブルーに光る「S'ACCAPAU」の看板が。入り口の階段を下りると現れるグレーを基調にした内装は、モダンでシンプルなブルックリン風とナチュラルな北欧のテイストが融合。洗練されていて、居心地のいい空間が広がっている。

 店内はテーブル席とカウンター席に分かれ、カウンターからはキッチンのなかでスタッフが機敏に動く様子を、まるで芝居を見ているかのように眺めることができる。少し広めのカウンターで、キッチンまで贅沢に距離を設けている造りが、そう感じさせてくれるようだ。「ザ・リッツ・カールトン大阪」でサービスを経験した店長の有田伸也氏をはじめ、スタッフの上質かつフレンドリーな接客にも癒やされる。

 遅い時間に始まる食事はラストオーダーの時間を気にして、どこか慌しくなりがちだが、ここは「より身近なレストランでありたい」というシェフの思いから深夜まで営業。夜中の1時過ぎに訪れてもコースがオーダーでき、早い時間帯から夜更けまで、ワイン1杯とフレンチフライだけでも歓迎される。単品でオーダーできるパスタは、毎日8種類も用意。店に一歩足を踏み入れた瞬間に外の喧騒や多忙な時間を忘れさせてくれる雰囲気が、人気を集めている。

イタリア料理がベースの8皿と、自然派ワインもペアリングで堪能

 目の前に運ばれてくる皿は、美しく繊細。そして、小さな遊び心が加えられている。8皿からなる「テイスティングメニュー」は、月替わりのお任せコース。テーブルに置かれたメニューには「イワシ グリーンアスパラ スペルト小麦」「アユ ケッパー タマネギ」など、食材のみが記されていて、旬の食材を想像しながら料理を待つ時間も楽しい。

 料理を手掛ける田淵拓氏は、2016年に15年ぶりに帰国した日本で、この「サッカパウ」をオープン。イタリアでの6年間は、ほぼ全州を訪れ各地のレストランで修行。その後ドイツに渡り、イタリア料理店やカフェを開業したという。海外で培った豊かな経験に独自の感性を加えて表現した毎月のメニューは、季節が重んじられ、日本ならではの旬の食材へのアプローチも興味深い。一般的には和食で使われるじゅん菜を、その食感からゼリーのようなデザートに仕立てるという斬新な発想も、田淵シェフならでは。

 「テイスティングメニュー」をオーダーしたら、ぜひともワインもペアリングで堪能してほしい。ソムリエの梁世柱(ヤンセジュ)氏は、2017年4月にメルボルンで開催されたグルメ界のアカデミー賞とも称される「世界ベストレストラン」で、世界のソムリエ50を選出する「World's Best Sommeliers」に選出された実力の持ち主。近年、料理とワインのペアリングを提案するレストランが増えているが、「サッカパウ」のワインのペアリングは自然派に特化。料理を引き立てるワインが、コース全体をいっそう満足させてくれる。

 コースの最後には、オリジナルブレンドのハーブティーが、サイフォンで提供される。茶葉が躍る様子をじっと眺めているだけで、ホッと心が和んでいく。

S'ACCAPAU/サッカパウ
東京都港区西麻布1-12-4 nishiazabu 1124ビル B1
TEL:03-6721-0935
営:18:00~L.O.26:30
休:日曜日

Photos:Kazuhiro Fukumoto(MAETTICO) Text:Yui Togawa Edit:Yuka Okada

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