料理人兼ハンターという“食肉料理人集団”による自社一貫スタイル

 渋谷区松濤の静かな一角に佇む、紹介制の一軒家レストラン「ELEZO HOUSE(エレゾ ハウス)」。肉に特化したレストランが数多く話題となる東京においても、唯一無二の価値がここにある。そのはじまりは北海道。

 “食肉料理人集団”の異名をとる「ELEZO」は、2005年に北海道・十勝に創業。社員全員が料理人兼ハンターで、蝦夷鹿などの狩猟、放牧豚などの飼育、肉の解体、熟成、加工、販売までを一貫して行い、「生産狩猟」「熟成肉管理」「シャルキュトリ(食肉加工品)」「レストラン」の4つの部門で構成。その上質さは、都内の名立たるレストランに認められ、理解し合える料理人のもとに肉やシャルキュトリを卸している。

「4部門のブランドを高いレベルで定着させていきたい」と語るのは、都内の有名フランス料理店を経て、ELEZO社を立ち上げた代表取締役社長の佐々木章太氏。創業から11年目を迎えた2016年6月、渋谷区松濤に、紹介制の一軒家レストラン「ELEZO HOUSE」を開業した。“命ある状態から、皿の上までのすべてを担う”という徹底した肉への敬意を表現する集大成の場に。

洗練されながらも温かな接客で、ここにしかない肉料理を堪能

 7~8皿で構成されるコースは、黄金色に輝く蝦夷鹿のコンソメから始まる。蝦夷鹿の鎖骨を切り開いてとった生血から作るブーダンノワールは、ピュアでなめらかな口当たり。十勝のラボラトリーで、約40種の中から、季節やゲストに合わせて盛り合わせるシャルキュトリは訪れるたびに違った楽しみがある。メインディッシュでは、2種以上の肉が皿の上に並ぶ。月齢や性別違いの蝦夷鹿のローストや、豚肉の概念を覆される放牧豚の肩ロースとアンドゥイエット(豚の小腸に豚の胃腸や肉を詰めたソーセージ)など、肉の食べ比べをすることができるのもこちらの醍醐味。

 デザート以外すべて肉料理。だが、決して食べ疲れることも飽きることもなく、極上の肉の魅力に触れることができる。食事をしながら「蝦夷鹿は2時間圏内でネックショットによって仕留めることがルール」、「放牧豚は蒸かした芋で飼育」といった肉の背景をしっかり説明され、それを含めて味わうことができるのも自社一貫型ならでは。

 さらに、肉を熟知した料理人による、味わいを引き立てるソースや野菜、茸の調理も秀逸だ。グリーンペッパーを使ったソースは、主張しすぎずに肉本来の持ち味を引き立てている。蝦夷鹿のローストにさりげなく添えられたカブは、3日間かけて仕上げたもの。野菜にもじっくりと手を掛けることを大切にし、フランス料理で培った技を駆使している。

 シャルキュトリの盛り合わせで登場するテリーヌやサラミなどはすべて購入できるので、会食の終わりに手土産として準備しておくのもひとつの手だ。

「おいしいことはもちろん、食材の背景を知ることでより楽しんでいただくことができると思います」と佐々木氏。表面的なおいしさから一歩踏み込んだ食体験。また大切な人と訪れたいと思わせる一軒だ。

ELEZO HOUSE/エレゾ ハウス
住所・TEL:紹介制のため非公開
営:18:00~21:30(最終入店19:30)、ランチは木~土12:00~15:00(最終入店13時)
休:日・月
※NikkeiLUXEを見た旨を記載の上、上記ホームページ内のメール<e.house@elezo.com>から予約可能
※シャルキュトリは、WEBのほか、火水11:30~15:00は店頭でも購入可能

Photos:Kazuhiro Fukumoto(MAETTICO) Text:Yui Togawa Edit:Yuka Okada

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