日本人が気づかない、海外からの視点で日本の魅力を再発見する企画。今回は、ファッションブランド「マックスマーラ」のクリエイティブ・ディレクター、イアン・グリフィス氏の来日に直撃。忙しく短い滞在期間を縫って、どうしても見たかったものとは?

質感と造形の有り様――1枚の建築写真がクリエイティブな好奇心を刺激した

マックスマーラでクリエイティブ・ディレクターをつとめるイアン・グリフィス氏。今回、10年ぶりの来日を果たした。

 東京・青山通りからキラー通りをしばらく入ったところにある「塔の家」。建築家・東孝光氏が1966年に建てた自邸であり、多くの建築関係者から一般の人々まで、今なお驚きと憧れをもって見られる、わずか6坪の敷地に建てられた狭小住宅(建物面積は3.6坪)の先駆け的存在だ。

 長年マックスマーラにつとめ、現在はクリエイティブ・ディレクターであるイアン・グリフィス氏が、3泊5日という短い日本滞在の中で、仕事の合間に一番見たかったのが、この「塔の家」だった。「来日する直前に、ロンドンのバービカン・センターで『Japanese Architecture and Life After 1945』という展覧会に足を運びました。そこで見た『塔の家』の写真があまりに印象的で、東京に行ったら実物を見たいと思っていました」。不整形な敷地に合わせた手の込んだ多面体の建物、5階テラス先端の下がった壁、2階に設けられた玄関と玄関ポーチ上の梁…機能的には不要と思われる箇所が、かえって外観を整え、全体にまとまりを与えている。

バービカン・センターでイアン氏が見た1966年当時の「塔の家」の写真。写真/村井修