理論物理学の博士号をもち、有名進学予備校で数学の講師を務める一方、自ら主宰するソムリエスクールで教鞭を執るほか、飲食店経営やワインと日本酒の輸出入業も行うなど、ユニークかつパワフルに活動するワイン研究家、杉山明日香さん。本連載では、彼女が毎月視察に訪れるというシャンパーニュ地方の新潮流にフォーカス。

僕にとってシャンパーニュは、生まれたときから日常

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〈左〉ヴェルテュ村の自家所有畑。右がピエール・ラルマンディエさん、左が三男のジョルジュさん。〈右〉黄金色に輝く晩秋のブドウ畑も素晴らしく美しい。この時期まで葉が残っているのはシャルドネの樹とのこと。

 みなさん、こんにちは! 「杉山明日香のシャンパーニュ紀行」第6回は、シャンパーニュ地方南部のコート・デ・ブラン地区の生産者「ラルマンディエ・ベルニエ」をご案内します。シャンパーニュの中心地ランスから車で1時間ちょっと南に下ったヴェルテュ村にあるドメーヌを訪れたのは、収穫をすっかり終えた昨年11月下旬。7代目当主のピエール・ラルマンディエさんにお話を伺いました。

明日香:(畑にて)ピエールさん、お久しぶりです!

ピエール:うん? 先月もお会いしましたよね(笑)。

明日香:はい。なんだか毎月のようにお会いしてます(笑)。でも、一緒に畑に行くのは久しぶりで。陽が当たって黄金色に輝く畑が本当に美しいですね。

ピエール:葉が青々とした夏の景色も素敵ですが、この季節の畑の美しさはまた格別ですね。

明日香:ピエールさんの畑はどのくらいの広さがあるのでしょうか?

ピエール:我々の畑は現在約18ヘクタールあります。この辺り一帯はうちのドメーヌの拠点である、プルミエ・クリュのヴェルテュ村の畑で、いま立っているここは、その中でも「テール・ド・ヴェルテュ」というキュヴェのための畑となっています。また、私たちはグラン・クリュの畑も持っていて、クラマン、シュイイ、オジェ、アヴィーズと、すべてコート・デ・ブラン地区にあります。

明日香:このブドウはシャルドネですか? この季節にまだ葉っぱが残っているから。

ピエール:そうです。この時季、ピノ・ノワールの葉はもう落ちていますよね。18ヘクタールの畑のうち、シャルドネが9割弱を占めています。残りはピノ・ノワールですが、ピノ・ノワールはすべてヴェルテュ村に植えています。

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〈左〉ドメーヌ・ラルマンディエ・ベルニエの外からの様子。〈右〉自慢のテイスティングルームの外観。

明日香:じゃあ、グラン・クリュではすべてシャルドネを栽培されているんですね。さすが、コート・デ・ブラン!!(フランス語で“白い丘”の意で、この地区はシャルドネの聖地) また、ピノ・ノワールの畑がすべてヴェルテュ村というのは初めて知りました。

ピエール:今、残りはピノ・ノワールと言ったけど、実はちょっと違って……。

明日香:えっ?

ピエール:実は、ほんの少量ですがピノ・グリも栽培しています。

明日香:えー? ヴェルテュ村のピノ・ノワールの畑の一部に、ピノ・グリが植えられているんですか?

ピエール:そうなんですよ。珍しいでしょ?

明日香:ピノ・グリは確かにシャンパーニュを造るための品種として認められてはいますが、シャンパーニュ地方で実際にピノ・グリを栽培している生産者の方にお会いするのは初めてです!