理論物理学の博士号をもち、有名進学予備校で数学の講師を務める一方、自ら主宰するソムリエスクールで教鞭を執るほか、飲食店経営やワインと日本酒の輸出入業も行うなど、ユニークかつパワフルに活動するワイン研究家、杉山明日香さん。本連載では、彼女が毎月視察に訪れるというシャンパーニュ地方の新潮流にフォーカス。

豊かなテロワールを未来へと残すことも、とても大事

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地下のカーヴにて、ピエールさんとテイスティング。カーヴもかなり美しく整頓されている。

 みなさん、こんにちは! 「杉山明日香のシャンパーニュ紀行」第6回は、シャンパーニュ地方南部のコート・デ・ブラン地区の生産者「ラルマンディエ・ベルニエ」をご案内します。後編では、カーヴでシャンパーニュをテイスティングしながら、7代目当主のピエール・ラルマンディエさんにシャンパーニュに対する熱い思いを語っていただきました!

明日香:(地下のカーヴにて)シャンパーニュ造りはどうやって学んだのですか?

ピエール:父が若くして亡くなったので、父から多くのことを学ぶ時間はありませんでした。僕の場合、自分の新しいキュヴェを造る際の考え方、手法は、独学というか、畑やブドウそのものから教えてもらったという感じがします。

明日香:なるほど。実際に畑で作業しながら、自然から学ばれたわけですね。シャンパーニュ造りで影響を受けた方はいますか?

ピエール:ブルゴーニュのムルソーの名手、ピエール・モレさんです。同じピエールですけど(笑)。彼はドメーヌ・ルフレーヴで醸造最高責任者として働きながら、自分のドメーヌも運営していました。1992年から93年ごろに彼と交わした会話がとても印象的で、影響を受けたと思います。

明日香:具体的にどのような影響を受けたのか、教えていただけますか?

ピエール:彼は1991年からビオディナミ農法で栽培していたのですが、本当にクラシカルな方法でやっていて、そこに惹かれました。その当時、私は除草剤の使用をやめるなど、私なりのアプローチで畑と向き合っていましたが、彼から「シャンパーニュ造りを怠けているだけでは?」と指摘されたんです。そんなつもりはなかったのですが、いろいろ考えさせられました。その後、ブドウ栽培にビオディナミの手法を導入しました。

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カーヴにはかなり古いストックも多く保存されている。今回は40年近く前の貴重なものをテイスティングさせていただくことに。