明日香:ピエールさんが1990年代後半にすべての畑をビオディナミに変えられたのには、そんな状況があったのですね。

ピエール:あのとき、すぐに行動して本当によかったと思っています。じゃあ、テイスティングをしましょうか。まず、これを見てください。

明日香:郵便ポストの変形版みたいですね。でも、フタというかドアがないし、入り口が大きくて先がすぼまったトンガリ帽子が横になった形ですね。かなり年季も入ってる。なんなのか、さっぱりわかりません。

ピエール:やっぱり。いろいろとドメーヌを回っている明日香さんでも、これは見たことがないかなと思って(笑)。昔、デゴルジュマン(澱抜き)を手作業でやっていたころに、コルクや泡が飛び散らないように、この中で栓を抜いていたんです。

明日香:デゴルジュマン用ですか!

ピエール:じゃあ、実際にやってみましょう。どのシャンパーニュを開けようかな。せっかくなので、僕も久しく飲んでいない、父が造った1979年のミレジメを開けましょう。

明日香:やった~! そんな貴重なものをありがとうございます!

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デゴルジュマンを手作業でやっていたころの、飛散防止器具。

ピエール:(実際にその場でデゴルジュマンをして)結構上手にできてよかった(笑)。香りが華やかですね。

明日香:はちみつやブリオッシュのいい香りがします。(口に含んで)泡もまだ少し残っています。すべての要素がきれいに溶け合っている。本当に熟成したおいしい白ワインのよう。至福です。

ピエール:こんなに喜んでくれて、僕もうれしいです。

明日香:ピエールさんにとって、シャンパーニュ造りで大事なポイントは何ですか?

ピエール:シャンパーニュ造りにおいては「いつ収穫するのか」がいちばん大切です。毎年毎年、収穫をいつから始めるか、というのを決断するのは本当に難しいです。 また、毎日の畑仕事ですね。テロワール(土壌など)の特徴をブドウにしっかりと表現してもらうためには、なんといっても地道な畑仕事の積み重ねが欠かせません。それと同時に、豊かなテロワールを未来へ残すことも、とても大事です。

明日香:ピエールさんはいつまでシャンパーニュを造り続けたいと思っていますか?

ピエール:私はほかの造り手のように、あらかじめいつごろバトンタッチをしたい、と考えてはいません。私の息子たち、またはほかの後継者かもしれませんが、彼らがしっかりとこの仕事を受け継げるようになるそのときまで、長く働くつもりでいます。もちろん、健康であることが必要ですし、いつまでも働ける範囲で働きたいですね。

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最近実験的に始めた、アンフォラ(素焼きの壺)での発酵と熟成。

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