日本の伝統文化によって醸し続けられる国酒「日本酒」。移りゆく季節やシチュエーションに沿って、毎月厳選した3本を紹介する。今月は、寒い日にもぴったりな、とろりと甘く琥珀色に輝く「貴醸酒」をラインアップ。

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通常の水ではなく、日本酒で仕込むという贅沢な「貴醸酒」。貴腐ワインのように濃密な甘さを持ち、デザート感覚で楽しむことができる日本酒だ。

エレガントなボトルで輝く「満寿泉 貴醸酒」

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「満寿泉 貴醸酒」500ml¥2,200

 イタリア製のシンプルで存在感あふれるボトルに、洋酒を思わせるキャップ。ビジュアルからもオリジナリティが伝わるが、口にすると、上質なチーズやレーズンを合わせたくなるようなテイストに、ジャンルを超えた可能性を感じる。満寿泉の純米生酒で仕込んだこちらは、ハチミツのように濃密な甘さながら、爽やかなキレ味を持ち合わせているのが特徴。他に、貴醸酒をオーク樽で熟成させた「満寿泉 オーク樽熟成貴醸酒」も展開しているので、飲み比べてみるのもいいだろう。

 まだ「吟醸酒」という言葉が一般的でなかった昭和40年代から、「能登四天王」と呼ばれた三盃幸一元杜氏と、4代目蔵元・桝田敬次郎氏を中心に吟醸酒造りに力を入れ、吟醸酒蔵として名を馳せてきた。現在でも、現蔵元・桝田隆一郎氏がアンリ・ジローのオーク樽での熟成やワイン酵母で醸すなど、これまでにない斬新な試みで、日本酒業界に新たな風を吹き込んでいる。銘柄名は、蔵元の姓一字「桝」に、縁起良く「寿が満ちる泉」と当て字し、長寿の酒を意味している。


桝田酒造店
富山県富山市東岩瀬町269
TEL:076-437-9916
www.masuizumi.co.jp/

蛍の幻想的な光を彷彿させる「南部美人 貴醸酒 Luciola」

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「南部美人 貴醸酒 Luciola(ルキオラ)」500ml¥1,800

 夜の水面を思わせるような濃いブルーのラベルに、「Luciola」の「i」の点が輝く。「Luciola (ルキオラ)」とは、ラテン語で「蛍」の意。南部美人を初めて使った貴醸酒は、蔵のある折爪岳(オリツメダケ)に生息しているヒメボタルに由来。シーズンには、100万匹ともいわれるヒメボタルが光を放ち乱舞するさまを見ることができ、そのイメージを醸している。口に含むと、お米本来の旨みと甘みに、果実のような酸味が一体となり、心地よく喉を通り過ぎていく。冷やでも燗でも楽しむことができ、多彩な表情をみせてくれる。

 醤油蔵だった技術を活かし、明治35年(1902年)創業。「綺麗で美しいお酒を造りたい」という思いと、蔵がある二戸(にのへ)は古くから南部の国と呼ばれていたことから「南部美人」と命名された。海外に輸出した先駆者でもあり、ニューヨークをはじめ世界およそ40カ国で「サザンビューティー」として愛されている。2013年に「コーシャ(Kosher)」(ユダヤ教に則った食品で、欧米では安全性の目安に)に続き、2019年には「ヴィーガン(Vegan)」の認証を取得するなど、世界に向けしっかりと日本酒の新しい価値を伝えている。


南部美人
岩手県二戸市福岡上町13
TEL:0195-23-3133
https://www.nanbubijin.co.jp/