理論物理学の博士号をもち、有名進学予備校で数学の講師を務める一方、自ら主宰するソムリエスクールで教鞭を執るほか、飲食店経営やワインと日本酒の輸出入業も行うなど、ユニークかつパワフルに活動するワイン研究家、杉山明日香さん。本連載では、彼女が毎月視察に訪れるというシャンパーニュ地方の新潮流にフォーカス。

シャンパーニュの味わいにテロワールをきちんと表現するのが目標

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畑にて。この日は一日のうちに、何度も晴れと土砂降りが繰り返す。足には泥よけを。

 みなさん、こんにちは。「杉山明日香のシャンパーニュ紀行」第19回では、コート・デ・ブラン地区のグラン・クリュのクラマン村に位置する「ドメーヌ・スェナン」を訪問しました。後編ではブドウ畑に移動。5代目当主のオレリアン・スェナンさんに、畑についてより詳しく話を伺い、テイスティングを行いました。

明日香:(ブドウ畑にて)今日は午前中に雹(ひょう)が降ったりして、畑がちょっと心配ですね。

オレリアン:そうですね。土がちょっとぬかるんでいると思うので、明日香さん、気をつけてください。
 ここはグラン・クリュのクラマン(Cramant)村のバス・クロワ(Basse Croix)という畑で、ここの土壌は鉄を含んでいるのが特徴です。この畑だけでワインを造るには面積が小さいので、この畑でできたブドウはグラン・クリュのシュイイ(Chouilly)村のブドウと合わせて「セ・プリュス・セ(C + C)」というキュヴェに使います。

明日香:「セ・プリュス・セ(C + C)」のキュヴェ名は「クラマン(Cramant)+シュイイ(Chouilly)」のことですね?

オレリアン:そのとおりです! この、目の前の丘の上部の土壌は「アッパー・カンパニアン(Upper Campanian)」といって、深層はチョーク、表面が粘土です。この土壌ではブドウは丸くなりすぎず、食感が増します。一方、オワリに近い丘の下部の土壌は、表面がチョークで覆われた「ローワー・カンパニアン(Lower Campanian)」です。

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クラマンのブドウ畑。

明日香:同じ場所の丘でも、上と下とでずいぶん土壌が違うんですね。テロワールがブドウの味わいに与える影響の大きさは理解しているので、同じ品種でもかなり違ったワインになるのがわかります。収穫のタイミングについても、それぞれの場所で異なってきますよね。

オレリアン:そうですね。詳しく言うと、収穫は、南向きの丘で土壌がチョークで白くなっている、シュイイから始めます。シュイイのブドウは実に凝縮感があり、糖度も高めに仕上がります。次にオワリですね。オワリの畑はどちらかというと平坦なので、南向きのシュイイに比べると糖度が上がりにくいので。

明日香:畑の土壌の特徴と向きによって、収穫も細かく分けて行っているんですね。今、ご自身のなかで課題とされていることなどはありますか?

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