理論物理学の博士号をもち、有名進学予備校で数学の講師を務める一方、自ら主宰するソムリエスクールで教鞭を執るほか、飲食店経営やワインと日本酒の輸出入業も行うなど、ユニークかつパワフルに活動するワイン研究家、杉山明日香さん。本連載では、彼女が毎月視察に訪れるというシャンパーニュ地方の新潮流にフォーカス。

科学的なアプローチも必要だけれど、まずは見て学び、感じ取ること

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ドメーヌ・ユリス・コランの外観。

 みなさん、こんにちは! 「杉山明日香のシャンパーニュ紀行」第7回は、シャンパーニュ地方南部にあるコート・ド・セザンヌ地区に位置する「ユリス・コラン」を訪問しました。シャンパーニュの中心都市であるランスからドメーヌのあるコンジィ村までは、車で南へ1時間ほど。新進気鋭の造り手として一代で世界的にその名を馳せた、ドメーヌ・ユリス・コランの初代当主であるオリヴィエ・コランさんに、まずは畑でお話を伺いました。

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〈左〉ユリス・コランのブドウ畑に散在するハコベ。〈右〉このあたりのハコベの花は青みが強く、ややpHが高めと考えられる。

明日香:ブドウ畑に可愛らしいお花が咲いていますね。

オリヴィエ:ハコベの花です。この花はpH(ピーエッチ)で色が変わるんです。pHが低いと赤く、高いと青くなるんですよ。つまり、土壌に含まれる酸が強いと、花の青みが増すんです。科学的な分析をしなくても、花の色を見れば土壌の様子を理解することができます。もちろん、科学的なアプローチも必要ではありますが、土壌のコンディションを知るには、まず見て学び、自分で感じ取ることが必要です。そうしないと、よいブドウを育てることはできません。