明日香:法律家になるはずがワインの道へ! 思い切った舵取りですね。どのタイミングで切り替えられたのですか?

オリヴィエ:ネゴシアンとの畑のレンタル契約の更新が、18年ごとだったんです。なので、2003年の更新のタイミングを逃さず、畑とドメーヌを取り戻そう!と思い、ワインの道を選びました。ロースクールに通っていたおかげで、特に契約に関する専門知識を身につけることもできたので助かりました(笑)。
 決めてからは大学をやめ、2002年にドメーヌ・ジャック・セロスのアンセルムさんのところで研修を受けました。

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〈左〉飾ってあったシレックス土壌の一部。黒く見えるのはオニキスとのこと。〈右〉カーヴの壁にもところどころにオニキスが見られる。

明日香:それで2003年にご自分でドメーヌを設立され、畑仕事から始められたんですね。「ユリス・コラン」のドメーヌ名の由来は?

オリヴィエ:私の先祖に「ユリス」という名の人がいるのですが、ユリスというのはもともとギリシャ神話にも登場する人物名で、先祖のユリスはいろんなことにチャレンジする、何事も諦めない人でした。なので、シャンパーニュ造りにチャレンジする私自身と重なる部分もあって、ユリス・コランと名付けました。

明日香:そういう由来だったんですね。ところで、ここには大樽がいくつもありますね。熟成に使っているのですか。

オリヴィエ:現在、熟成には8種類の樽を使っていて、樽に入れるワインの量も変えています。そうすると、中に入れるワインが同じでも、それぞれがどんな特徴をもって熟成していくのかが見えてきます。薄い木材でできた樽のほうが空気を通しやすいので、樽の厚さによっても大きな違いがでます。

明日香:なるほど、非常に面白い試みですね。そういう実験、大好きです。ところで、これは……地層の一部ですか?

オリヴィエ:はい。シレックス石灰質土壌の一部です。すごく大きかったので、わざわざここまで運んで飾っています。コート・デ・ブラン地区のチョークの土壌とは違って、コート・ド・セザンヌ地区の土壌は貝のニュアンスがより出るんです。また、シレックスが入っていることで火打ち石のような、冷たいミネラルのようなニュアンスも出ます。
 ご存じのとおり、シャンパーニュの味わいには土壌の違いが出てきます。私の畑には、プルミエ、グランクリュといった格付けもありませんし、そういった畑と比べてどういうふうに土壌の個性や味わいを出すのかが重要だと思っています。