理論物理学の博士号をもち、有名進学予備校で数学の講師を務める一方、自ら主宰するソムリエスクールで教鞭を執るほか、飲食店経営やワインと日本酒の輸出入業も行うなど、ユニークかつパワフルに活動するワイン研究家、杉山明日香さん。本連載では、彼女が毎月視察に訪れるというシャンパーニュ地方の新潮流にフォーカス。

自分の未来は、自分で選ぶことができる

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8つある大樽で条件を変え、熟成の違いを見るなどの試みも。常に進化を目指している。

 今回は、ドメーヌ・ユリス・コラン訪問の後編。一代で世界的に有名なシャンパーニュの造り手となった、初代当主であるオリヴィエ・コランさんに、シャンパーニュに対する彼の熱い思いと哲学を伺いました。

明日香:(地下のカーヴにて)コラン家の歴史を教えてください。

オリヴィエ:私の家は、300年ほど前からこのコンジィ村でブドウ栽培と樽製造の仕事を始めました。シャンパーニュ造りを始めたのは曽祖父で、祖父がその仕事を拡大し、1934年には畑仕事のクオリティーが高いと国から表彰もされています。
 父の代になり、1987年からネゴシアン(=買い付けブドウによるシャンパーニュ製造会社)とパートナーシップを組み、ドメーヌと畑を貸していました。先ほど見ていただいた家族の家の目の前の畑も全部ネゴシアンに貸していたので、我が家のものではあるものの、立ち入ることはできませんでした。

明日香:そんななか、オリヴィエさんはいつからシャンパーニュ造りをされているのでしょうか。

オリヴィエ:私は学生時代からワインが大好きで、法律の大学に通っている間に、ボルドーの学校の通信教育でワインの勉強をしていました。特にブルゴーニュワインが好きで、学ぶうちに、ブルゴーニュのワインへのアプローチがシャンパーニュに合うと思い、自分でシャンパーニュを造りたいと思うようになったんです。