ブルゴーニュの素晴らしさを表現して20年

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温かい前菜として提供されるスペシャリテ「ブーダン ノワールのテリーヌ仕立て リンゴのサラダ添え」。手前はリンゴのピューレ、奥は小さな角切りでリンゴの食感を残している。

 オープン当初から作り続けている「ブーダン ノワールのテリーヌ仕立て リンゴのサラダ添え」は、代表作のひとつ。腸詰めでなくテリーヌ状にしているのは、しっとりとした口当たりにするため。豚の背脂、タマネギ、ナツメグなどをじっくりと炒めたところに、生クリーム、コーンスターチ、パセリのみじん切り、豚の血をあわせてテリーヌ型に流し込み、湯煎し、オーブンで焼き上げている。菊地さんが手掛ける料理はクラシックな技法を大切に、奇をてらわず、それでいて細部にまで独自の感性が息づいている。

 ランチタイムは、プリフィクスコース(¥3,800と¥4,800)のほか、本日のシェフのおまかせコース(¥8,000)。ディナータイムは、シェフのスペシャリテを集めたおまかせコース(¥7,000)と本日のシェフのおまかせコース(¥10,000)。昼夜ともに、アラカルトも用意する。

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窓の外の小さな庭の緑にも心が和む、南仏を思わせる暖かく優しい色調の店内。都会の喧騒を忘れさせてくれる穏やかな時間の中で、食事を楽しむことができる。

 渡仏中、菊地さんが最後に滞在したのは、ブルゴーニュ地方ボーヌのレストラン「エキュソン」。そこでの貴重な体験の数々が、レストランづくりのベースになっているそう。さらに、修業時代の休日には、多くのワインの造り手を訪ね、造詣を深めた。料理に合わせたワインの秀逸なラインナップにもファンが多い。今年1月、オープン20周年を迎えた「ル・ブルギニオン」では3月末までの期間、ゲストへの感謝を込め、ボトルワインを20%オフで提供している。ぜひ、この機会に訪れてみてはいかがだろうか。

ル・ブルギニオン/LE BOURGUIGNON
住所:東京都港区西麻布3-3-1
TEL:03-5772-6244
営業時間:11:30~15:00(L.O.13:00)、18:00~23:00(L.O.20:30)
定休日:水曜・第2火曜
ホームページ:https://le-bourguignon.jp/
※価格はすべて消費税・サービス料(10%)別

炭火割烹 白坂
鮟鱇の旨みを余すことなく凝縮した米料理

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コースの終盤で登場する「鮟鱇のリゾット」。パセリのオイル、鮟鱇の出汁の泡を添え、柑橘を散らしている。食材の入荷状況によるため、希望の場合は予約時に確認を。

「七つ道具といわれるように、鮟鱇はすべてを食べることができるのも魅力。これは、鮟鱇鍋から発想を得て、旨みをお米に閉じ込めた料理です」と語るのは、料理人の井伊秀樹さん。鮟鱇の身は、自慢の炭火で火を入れる際に、赤酒と薄口醤油をキャラメライズするように塗り、続いて、オリーブオイルやエシャロット、タイムなどを使った鮟鱇の肝ソースを塗っている。リゾットは、ハーブを使った鮟鱇の出汁をたっぷりと含ませ、行者にんにく、芹(せり)、うるいを合わせたもの。春を感じるような山菜のほろ苦さが、心地よい余韻を残す。洋と和のテイストが上品に重なり、優しい味わいにまとめられた一皿だ。

「こちらの料理に合わせるなら、優しい酸味を感じる微発泡の薄にごりの日本酒がいいですね」と話すのは、番頭としてゲストをもてなす海東高太さん。井伊さんとともに、海外経験豊富なふたりがもてなしてくれるので、海外のゲストを連れていくのにも最適だ。

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「炭火割烹 白坂」の井伊秀樹氏。1976年、東京都生まれ。和久田哲也氏との出会いを機に渡豪し、シドニー「Tetsuya’s」で副料理長を務める。その後、ニューヨークで国連大使の専属公邸料理人を拝命。2014年に独立し「炭火割烹 白坂」を開店。ソムリエ資格も持つ。

 ジャンルレスな発想の井伊さんの料理。「鮟鱇のリゾット」でも、日本料理だから日本のお米を使用するのではなく、仕上がりを考慮して水分量の少ないジャスミンライスをセレクト、軽やかに仕上げている。食材や技法においても最善のものを自在に選ぶ井伊さんの料理は、日本で10年、オーストラリアとアメリカで計10年の、これまでの経験によって形成されたアイデンティティによるところが大きい。

「オーストラリアの市場にも、鮟鱇はMonkfishとして流通し、よく食べられている食材でした。河豚(ふぐ)に似た食材として重宝されていましたね。レストランでは、唐揚げにして提供したこともありました」と井伊さん。現在、店で働くイギリス人スタッフによると、ヨーロッパでもよく食される魚で、しっかりとした味付けが多いそう。