理論物理学の博士号をもち、有名進学予備校で数学の講師を務める一方、自ら主宰するソムリエスクールで教鞭を執るほか、飲食店経営やワインと日本酒の輸出入業も行うなど、ユニークかつパワフルに活動するワイン研究家、杉山明日香さん。本連載では、彼女が毎月視察に訪れるというシャンパーニュ地方の新潮流にフォーカス。

100年の歴史を持つ、シャンパーニュ造りの名門一族

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丘の上から見た畑。実際には見た目よりもかなり傾斜が強い。

 みなさん、こんにちは! 「杉山明日香のシャンパーニュ紀行」第8回では、シャンパーニュ地方、コート・デ・ブラン地区に位置する「アンドレ・ロベール」をご案内します。こちらのドメーヌは、最もエレガントなシャルドネを生み出す土壌ともいわれる、グラン・クリュのル・メニル・シュル・オジェ村にあり、約1世紀にわたるシャンパーニュ造りの歴史を持っています。今回は次期5代目当主となる、ジャン・バティスト・デニザールさんにお話を伺いました。

明日香:この畑は丘の上にあって見晴らしがとてもいいですね。やはり、頂上ならではの畑の特徴などがあるのでしょうか?

ジャン・バティスト:もちろんありますよ。ここの土壌は、小石を含んだ地層がいくつも重なっていて、その小さな石が太陽の熱を長く保つことで、ブドウの味わいにも厚みが出てくるんです。この土壌ならではの石灰質のテロワールが感じ取れるような、豊富なミネラル感やフレッシュさを味わえるシャンパーニュ造りを心がけています。

明日香:現在、ドメーヌとして何ヘクタールぐらいの畑があるんですか?

ジャン・バティスト:トータルで14ヘクタールの畑があります。基本的にシャルドネの畑がほとんどで、このグラン・クリュであるル・メニル・シュル・オジェに約7ヘクタール、その他はプルミエ・クリュなどの畑です。また、ピノ・ノワールとムニエの畑も合わせて1ヘクタール持っています。各畑は、細かくパーセル(区画)に分かれていて40プロット以上あるのですが、どのパーセルのテロワールも少しずつ違うというのが特徴です。

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冬季剪定は、まだかなり寒い時期に行う畑仕事。ここから一年が始まる。