理論物理学の博士号をもち、有名進学予備校で数学の講師を務める一方、自ら主宰するソムリエスクールで教鞭を執るほか、飲食店経営やワインと日本酒の輸出入業も行うなど、ユニークかつパワフルに活動するワイン研究家、杉山明日香さん。本連載では、彼女が毎月視察に訪れるというシャンパーニュ地方の新潮流にフォーカス。

夫婦の刺激的な意見交換から、美味しいシャンパーニュが生まれる

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〈左〉ジロパレットは、瓶に溜まった澱を抜くために、瓶口を下に向けて少しずつ回転させながら澱を瓶口に集める作業を、パレットごとにまとめて行う機械。〈右〉右奥に見えるのはピュピトルという、昔ながらの澱下げ台。

 前編に続き後編では、地下セラーへ移動して、次期5代目当主のジャン・バティストさんとのお話が続きます。彼がシャンパーニュ造りを始めたきっかけや、公私にわたるパートナーといえる、奥さまのクレールさんに関するステキなお話とともに、シャンパーニュをテイスティングした様子をお伝えします。

明日香:さすがに、地下セラーは冷えてますね。普段のテイスティングなどもここで行っているのですか?

ジャン・バティスト:そうです。ここだと一年を通して気温と湿度にあまり変化がないので、同じ状況でテイスティングできるという利点があります。それに、ドザージュのテストもここでやっています。もちろん、保管にもとてもよい状態ですからね。ほかにも、温度がやや高めのエイジング用のセラーもあります。

明日香:(ジロパレットが稼働する際のビープ音を聞いて)ジロパレットが回っているところを初めて見ました! 本当に、手で回す作業と同じように、一日にちょっとずつしか回転しないんですね。
 あちらには真下に向けられているボトルがありますね。あれは、澱が落ちきってデゴルジュマン(澱抜き)を待っている状態ですか?

ジャン・バティスト:そうです。ちょうど来週、澱を抜く予定なんです。

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瓶口に見えるのが集まった澱。瓶口を凍らせて抜栓すると、固まった澱が外に飛び出す。

明日香:先ほど、ドメーヌの歴史についてお伺いしましたが、次は次世代のジャン・バティストご夫妻についてお聞きしたいです。奥さまのクレールさんとの出会いは?