玉子の包容力なのだろう、生クリーム、フルーツ、苦めのカラメルソースなどとの組み合わせによってプリンの味わいが豊かに変化するのも楽しい。プリンの下に隠れたカラメルソースのほろ苦さ、そしてシロップ漬けのフルーツが懐かしさを匂わせる。締めくくりにはもちろん、コーヒーを。

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「玉子を使った定番スウィーツを」と誕生したプリン・ア・ラ・モード。大人たちの記憶の中の“喫茶店の定番”を再現すべく、盛り付けや器にこだわった。味わいがいつも変わらないことを目指し、フレッシュフルーツはあえて通年で同じものを使っている。

「はまの屋パーラーの顔である『玉子サンドゥィッチ』は、以前と変わらない味を守るため、玉子やパン、マヨネーズまでかつてと同じ仕入れ先から仕入れています。プリン・ア・ラ・モードは、その玉子を使った新定番となるデザートとして開発されました」(店長の西原さん)

 はまの屋パーラーの先代の哲学は、“新鮮なものをシンプルに使う”だった。毎朝届く材料で素材を生かしながら作り上げる。プリン・ア・ラ・モードには、その哲学がしっかりと受け継がれている。

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グラスの底には、苦めのカラメルソースと小さく切ったシロップ漬けのフルーツ。最後に満足感をプラスしてくれる隠し味だ。

 はまの屋パーラーの創業が1966年。有楽町店の再オープンが2012年。2016年には帝国ホテルプラザ東京内に日比谷店が、2019年にはリニューアルされた渋谷PARCO内に新店舗がオープンしている。

 有楽町の街で日本のビジネスパーソンに愛された純喫茶は、日比谷の歴史的ホテルへ、渋谷の栄華を牽引したファッションビルへと接ぎ木され、古くも新しい場所として生まれ変わり続ける。しかし、場所が変わり時代が変わっても、人の心を癒やすのは同じ味――“新鮮なものをシンプルに使った”懐かしい味なのだ。

はまの屋パーラー 日比谷店
住所:東京都千代田区内幸町1-1-1 帝国ホテルプラザ東京4F
TEL:03-3591-6636
営業時間:11:00~19:00
定休日:施設休館日に準ずる
ホームページ:http://hamanoya-parlour.com/
※価格はすべて税込み

Photos:Kazushige Mori Text:Yue Arima Edit:Ayaha Yaguchi

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発王道プリン×旬のフルーツの宝石箱! 渋谷の街で少女時代のときめきに出合う/Åre(オーレ・渋谷)

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