日本の伝統文化によって醸し続けられる国酒「日本酒」。移りゆく季節やシチュエーションに沿って、毎月厳選した3本を紹介する。今月は、日本酒業界でも注目度が高まっている自然派志向をセレクト。

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ビオ、オーガニック、ナチュール、有機……表現はさまざまだが、ワイン同様、日本酒でも自然派の原料や製法にこだわった酒蔵が増え、認知されつつある。日本酒を選ぶ基準のひとつとして、ぜひ知っておきたい。

テロワールを豊かに表現、身体になじむ「自然郷 BIO 特別純米」

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「自然郷 BIO 特別純米」720ml ¥1,333

 ラベルに表記されている「BIO」は「Biopreservation」の略で、「人々が長年にわたり食品として何ら有害作用もなしに食べてきた植物、動物あるいは微生物起源のバイオプリザバティブを効果的に活用しようとする保存法」を意味しているという。独自の手法で育てた生酛(きもと)系酒母を用い、無濾過無加水で醸している。お米は、地元福島県産の「夢の香(ゆめのかおり)」を使用。グラスに注ぐと、心地よい香りが漂い、爽やかな酸味と繊細な旨味が舌の上を流れ、ライチのようなさっぱりした風味が特徴的だ。余韻はほどよく続き、味の稜線を楽しむことができる。

 慶応元年(1865年)創業。昭和49年(1974年)、四代目大木代吉氏が、地元、矢吹(やぶき)の豊かな自然への謝意を込めて「無添加酒-自然郷」を発売した。当時は「純米酒」という言葉もなく、認知されるまでに時間がかかったが、その後、純米酒の先駆者として愛飲されるまでに成長した。もう一つの銘柄「楽器正宗」は、2016年に復刻されたもので、女性が横笛を吹く雅(みや)びなラベルのシリーズ。ほかに、「自然郷」同様に自然栽培にこだわった生産者と取り組んでいる梅酒やヨーグルト酒、卵酒といったリキュール、料理酒も揃えており、その味わいにファンが多い。


大木代吉本店
福島県西白河郡矢吹町本町9
TEL:0248-42-2161
https://www.daikichi-sizengo.co.jp/

先人へ思いを馳せ、超古代製法で醸す「仙禽 オーガニック・ナチュール」

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「仙禽 オーガニック・ナチュール」720ml ¥2,545

 日本酒の原点に回帰する意欲作「仙禽 オーガニック・ナチュール」は、酵母無添加(蔵付き酵母)、生酛酒母、木桶仕込み、古代米使用、低精白という古代製法。日本のお米のルーツともいえる栃木県産の「亀ノ尾」を、11年前より取り組んできた有機農法で栽培し、90%精米している。立ち香は、穏やかだがやや厚みがあり、口に含むと、ほのかなガス感とともに、爽やかで凛とした酸味と輪郭のはっきりとした旨みが広がる。余韻は短めで引きがいい。

 江戸時代後期の文化3年(1806年)に、栃木県さくら市に創業。その土地ならではの個性に委ねるフランスの「ドメーヌ」という考えに基づき、原料米の亀ノ尾、山田錦、雄町は、蔵の地下水と同じ水脈上に限定して作付けした、いわば“ドメーヌ・さくら”を使用している。「仙禽 オーガニック・ナチュール」のラベルにも描かれている蔵のシンボルは仙禽(せんきん)、仙界に棲む鶴で、「愛情の赤。伝統の白。革新の黒。そのすべてが響きあうとき、ほかにはない唯一無二が生まれる」という思いが込められている。


せんきん
栃木県さくら市馬場106
TEL:028-681-0011
http://senkin.co.jp/