理論物理学の博士号をもち、有名進学予備校で数学の講師を務める一方、自ら主宰するソムリエスクールで教鞭を執るほか、飲食店経営やワインと日本酒の輸出入業も行うなど、ユニークかつパワフルに活動するワイン研究家、杉山明日香さん。本連載では、彼女が毎月視察に訪れるというシャンパーニュ地方の新潮流にフォーカス。

シャンパーニュ造りは、演劇と同じぐらいクリエイティブ

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地下のセラーには、瓶内で滓(おり)とともに熟成中のシャンパーニュが静かに眠っている。

 みなさん、こんにちは。「杉山明日香のシャンパーニュ紀行」第20回では、17世紀からの歴史をもつ「ドメーヌ・ドワイヤール」を訪問しました。後編では、11代目当主のヤニック・ドワイヤールさんにカーヴを案内していただき、素敵なサロンでテイスティングを行いました。

明日香:(地下のカーヴにて)先ほど、ヤニックさんはこのドワイヤール家の11代目、シャンパーニュ・ドメーヌとして3代目とお聞きしました。これだけ歴史のあるドメーヌを11代目として継がれることは、ご自身にとって、とても自然なことだったのでしょうか。

ヤニック:うーん、どうでしょうね。たしかに私は、ワイン生産者のもとで学んだり、ワインの専門学校にも通ったりしたので、自然な流れともいえるのでしょうが、正直なところ、家業を必ず継ぐ、という確信があってそうしていたわけではありませんでした。18歳のころは演劇に興味があって、俳優になりたいと思っていたんです。若かったですしね(笑)。

明日香:たしかに道は目の前にあるけれども、それでいいのか確信をもてずにいた、ということですね。心が決まったきっかけは何だったのでしょうか。

ヤニック:私に限らず、家業としてのメゾンを継ぐ方はみなさんそうだと思うのですが、私も幼いころから畑やシャンパーニュ造りが常に身近にありました。さまざまな場面で父の手伝いをしてきて、実際に学んできていて。そうするうちに、私が20歳のときに父が突然亡くなって、私が継ぐことになったのです。

明日香:かなりお若くして亡くなられたのですね。急だったとは思いますが、継いでみられて、どうでしたか?

ヤニック:実際に継いでみると、演劇と同じぐらいクリエイティブで、情熱を注ぐことのできる仕事だ!とすぐにわかったんです。どんなブドウを育て、どんなシャンパーニュを造り、どのようにキュヴェの命名やラベルの選定をするか……。とても創造的で、人々にインスピレーションを与えることができる仕事なんです。当時は、まさかこのタイミングで演劇とシャンパーニュ造りに類似点を見つけられるなんて、とうれしい驚きを感じていました。

明日香:ヤニックさんの目がキラキラしていらっしゃるから、そのお気持ちがよくわかります!

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シャルルのセラーの入り口。

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