20代~40代の日本人女性は、約1/4が貧血だといわれる。主な原因は月経による出血で鉄不足になり、知らずしらずのうちに貧血状態に陥り、日々の何気ない不調につながっていることが少なくない。貧血の研究に携わる医師・山本佳奈先生に、貧血の基礎知識と、効果的かつ簡単な鉄のとり方を教えていただいた。

[画像のクリックで拡大表示]

50歳未満の健康な日本人女性は、約1/4が貧血

貧血のチェックリスト


  • 疲れやすい。眠っても疲れがとれない
  • 階段で息切れする
  • 爪が弱くなり、割れる、へこむ
  • 顔色が悪いと言われる。下まぶたをめくると裏側が白っぽい
  • 飲み物などに入っている氷を食べてしまう
  • 月経のときの出血量が多い
  • 胃の切除の経験がある
  • 食事の偏りがある。とくに肉を食べることが少ない

  • 山本佳奈『貧血大国・日本』(光文社新書)のリストをアレンジした。
    (リストは医療法人社団鉄医会ナビタスクリニック新宿・濱木珠恵院長によるもの)

     貧血というと、めまいや立ちくらみのイメージが強い。しかし、上記に心当たりがある人は要注意。あなたが日ごろ感じている“ちょっとした不調”は、貧血によって引き起こされているのかもしれない。

     2006年のあるデータによれば、健康な日本人女性のうち50歳未満の22.3%は貧血で、そのうち25.2%は重度だったという。「これは世界的にとても多い数字」と話すのは、貧血の専門家である山本佳奈先生だ。

     日本では鉄不足に対する意識が低い。それを裏付けるように、日本人にもっとも多いのは「鉄欠乏性貧血」だ。血液検査の結果で「貧血」と診断されていなくても、鉄不足で倦怠感などの不調を感じている人はいるという。

    「50歳未満の日本人女性の貧血のうち、多くは月経が原因です。毎月の月経で血に含まれる鉄が失われていくのにかかわらず、積極的に補う習慣がないため、不足していくのです」(山本先生)

     もともと経血量が多い人、子宮系の病気で出血しがちな人は、とくに要注意。また、激しい運動をする習慣のある人も気をつけたい。筋肉の構成要素でもある鉄は、筋肉量が多いほど必要。運動時の発汗などでも、鉄は失われていきがちだからだ。

     多忙な生活やダイエット、外食やインスタント食品の多い食習慣などによる栄養不足も、鉄不足につながる。

    鉄不足になると体は酸欠状態に

     そもそも「鉄」とは、体中に酸素を運ぶ役割をもった栄養素だ。

    「鉄には、酸素と結びつく性質があります。赤血球のヘモグロビン(Hb)に含まれた鉄が酸素(O2)と結びつくことで、血管を通って体の末端まで酸素が運ばれるのです」(山本先生)

    [画像のクリックで拡大表示]

     そのため、鉄が足りないと体は酸欠状態に陥っていく。酸素不足は、脳であれば頭痛やめまい、耳鳴りに、骨格筋であれば疲れやすさや倦怠感につながる。

     動悸や息切れは、体が酸素不足を補おうとする症状だ。赤血球量が減って顔色が悪くなったりすることも。

    「ほかにも、集中力が欠如したり、朝に起きられなくなったり、髪の毛が抜けたり、爪が薄くなって反(そ)ってしまう人もいます。酸素不足は代謝不良にもつながるため、肌や髪の質の低下にもつながるでしょう」(山本先生)

     ただ一方で、症状の出ない人も半数ほどいるそうだ。自らの月経のクセに慣れていたり不調の原因は他にあると考えたりして、症状が出ていることに気付かないこともある。

    「確かに鉄不足は、決定的な体調不良を引き起こすわけではありません。ただ、貧血を放置しているがために、持っている能力を最大限発揮できていない人は多いはず」(山本先生)

     冒頭のチェックリストに当てはまる人だけでなく、最近パフォーマンスが低下しているかなと感じる人は、貧血を疑ってみてもいいのだろう。