作家自身が構成を手がける本展では、新作と近作100点以上を、真っ白な空間にぎゅっと凝縮して見せる。これまで一貫して追求してきた「時の流れ」をテーマに、追憶とノスタルジー、生と死、時と記憶の儚さを示唆する作品が集められる。

 深い愛情を傾けてきたなじみのあるモチーフのほか、数年前に東京を訪れたときに撮影されたという港湾の工業地帯の風景がある。一見違和感のあるインダストリアルなテーマだが、これもまた彼女の通過点のひとつであり、何らかの記憶から浮かびあがる物語性を帯びた関心事なのだろう。とても楽しみだ。

 一方で、英国の女優キーラ・ナイトレイをモデルに、シャネル ファイン ジュエリーとコラボレーションしたファッションフォトの数々なども、シャネル銀座ブティックおよびベージュ アラン・デュカス 東京で期間中に特別展示される。

 あらゆるものが等価に、曖昧に焼きつけられたイメージのなかに、古代の遺跡のようにやがて褪せて消えゆく姿形や色彩のありようを想像させるサラ・ムーンの作品は、蜻蛉の儚さをまとって追憶の向こうに佇んでいることだろう。

サラ ムーン写真展 D'un jour à l'autre 巡りゆく日々
会期:4月4日(水)~5月4日(金) 12:00~19:30 無休
会場:シャネル・ネクサス・ホール(東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F)
入場料:無料

Text:Chie Sumiyoshi Edit:Kaori Shimura