今年3月、日本に本格上陸したカナダのサステイナブルブランド「Obakki(オバッキ)」。その代表であり、クリエイティブ・ディレクターを務めるのがトリーナ・ピークさんだ。チャリティ事業への情熱、「Obakki財団」を通じて支援するアフリカへの想い──ファッションを通じて語られる彼女の物語をひもといてみよう。

 トリーナ・ピークさんが、ファッションブランド「Obakki」を創業したのは、2005年のこと。それまでは全く異なるキャリアを歩んでいたという。だが、どの時代にもつねに情熱を注ぎ続けてきたことがある。それは、学生時代から25年間続けているアフリカへの支援活動だ。ブランドの成功により、2009年にはチャリティ団体「Obakki財団」を創立。現在までに2500の井戸の設置と、それによる250万人の飲み水へのアクセス、12の学校設立、教育支援、女性支援などを行ってきた。

幼少時の体験が、チャリティ活動を始めるきっかけに

──現在は「Obakki」や「Obakki財団」を率いるリーダーとして活躍中ですが、ファッション業界に入る前はどんな仕事をしていたのですか?

 医療業界、それも精神科のリハビリテーションセラピストとして働いていました。今とは全然違うでしょ? でもそこで学べたことは多かったし、現在の活動につながるアフリカへの支援はその頃から継続的に行っていました。最初は18歳のとき、ルーマニアでチャリティ活動をしていたのですが、それをネットを通じて知ったある人からの誘いで中部アフリカのカメルーンへ。飲み水と医療、教育の支援をするために、自分の車を売ってお金をつくり、すぐに現地へ飛びました。以来、アフリカには60回以上訪れています。

南スーダン、カメルーン、ウガンダ地区を中心に、年に3~5回の頻度で支援活動のために赴いているトリーナさん。
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──若くしてチャリティ活動に目覚めたきっかけは何だったのでしょう?

 それは、私自身の幼少時の経験にあります。父を早くに亡くした私は、祖父母や家族とともに1ベッドルームの家に暮らしていました。生活は困難でしたが、不思議なことに毎年お金の入った匿名の封筒がドアの下に差し入れられ、家族を助けてくれていたんです。それがどなたの好意だったのかは今もわかりませんが、その寛大な行いは、私に生き方の指針を与えてくれました。あの人のようになりたい。その想いが、私を社会貢献の道へと導いたのです。