日本の伝統美と現代の感性によって誕生したリュクスな空間

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8階にある50㎡の客室「MOGANA BLACK」。床には黒御影石、洋室にはジンバブエ石を用いている。窓の外の壁面のクチナシは、春には白い花が咲き、秋には赤い実がなる。

 昨年12月、京都にスモールラグジュアリーホテル「MOGANA(モガナ)」が誕生した。二条城からほど近い小川通は、かつて染織りが盛んだったエリア。京都特有の間口が狭く奥行きが長い「うなぎの寝床」をリビルドし、京町家を現代に再構築した。室町時代、税金が間口の大きさで決まったことから、このような敷地が生まれたという。

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〈左〉レセプションスペースから続く、幻想的な38mの廊下。〈右〉ロビーライブラリースペースには、巨大スクリーンがあり、美しい日本の四季が映し出されている。

 椿が植えられたシンプルなエントランスを入ると、細長い敷地を生かした38mの長い廊下が続く。畳を模したステンレスを敷き、天井や壁には瓦色に仕上げた格子を配することで木漏れ日が差し込む様子を表現。最新のテクノロジーによる光と音の演出によって、幻想的にゲストを誘う。廊下の途中には、吹き抜けになったライブラリー空間があり、巨大モニターには日本の四季が映し出されている。本棚に並ぶ書籍のセンスも興味深い。吹き抜けでつながった2階にはバースペースがあり、一枚石の8mのカウンターに座れば、職人が施した金箔の天井が目を惹く。宿泊者には、18時から24時まで無料でアペリティフを用意する。

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〈左〉日本の伝統的な客間を現代に再構築した「DELUXE ROOM」。2m四方の大きな窓が特徴。〈右〉床には大理石、壁や天井、家具も白で統一された「MOGANA WHITE」。

 建築デザインを手がけたのは、京都出身の山口隆さん。客室は全23室で、壁、床、家具の素材の組み合わせが異なる4タイプで構成されている。土壁や木、真っ白な大理石、いぶし銀加工のアルミなど、それぞれのテイストからまったく違った雰囲気を醸し出しているが、いずれも無駄をそぎ落としたシンプルさとシャープな上質さが印象的。6階から8階に各1部屋ずつある「MOGANA ROOM」の窓の向こうには、吹き抜けの垂直の壁に坪庭を表現し、京都の伝統美をモダンに再構築している。ベッドやソファなどのインテリアも山口さんがデザインし、香川県や岡山県の家具職人が製作するというこだわりぶり。