理論物理学の博士号をもち、有名進学予備校で数学の講師を務める一方、自ら主宰するソムリエスクールで教鞭を執るほか、飲食店経営やワインと日本酒の輸出入業も行うなど、ユニークかつパワフルに活動するワイン研究家、杉山明日香さん。本連載では、彼女が毎月視察に訪れるというシャンパーニュ地方の新潮流にフォーカス。

家族の絆から生まれる、個性豊かなシャンパーニュ

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テイスティングルームにて。ドメーヌのロゴには古代生物の化石があしらわれている。

 後編ではテイスティングの前に、現当主のエリックさんを支える長女シャルロットさんと次女のジュリーさん、長男バランタンさんに、家族で取り組むお仕事の様子を伺いました。

明日香:(ドメーヌにて)お父さまとのお仕事やきょうだいでのお仕事について聞かせてください。

シャルロット(長女):私たちは、父が哺乳瓶にシャンパーニュを1滴入れて育ててくれたおかげで、いまこうやってシャンパーニュ造りをすることができるのね、っていつも言ってます(笑)。

明日香:エッ!? 本当に?

ジュリー(次女):もちろん冗談ですよ!(笑) 幼い頃は、遊びながら手伝うような、本当に遊びの一部でしたが、やはり大人になるにつれ、徐々に責任を感じるようになりました。何よりも、こんなにも美しいシャンパーニュを造ることのできる環境にいる、というのはすごく大切でありがたくもあり、一方で、本気で責任をもって取り組みたいという気持ちがあります。

明日香:3人のドメーヌでの役割分担を教えてください。

ジュリー(次女):私は主に畑仕事、つまりブドウ作りの仕事をしています。いろんなところへ研修に行くことも多かったのですが、去年の11月で研修も終わり、3人で働く体制がやっとできてきたところです。姉のシャルロットはマーケティングやカスタマー対応、特に国際マーケットの担当をしています。弟のバランタンはシャンパーニュ造りがメインですが、ローカルマーケットのフォローをしてくれることもあります。

明日香:ジュリーさんは研修先に日本を選ばれたとか。日本での研修はどうでしたか?

ジュリー(次女):私は日本の文化にすごく興味があって、せっかく研修で海外に行くなら日本へと思って。栃木県にあるココ・ファーム・ワイナリーと、北海道でワイン造りをされているブルース・ガットラヴさんの10R(トアール)ワイナリーへ4カ月ほど行っていました。それぞれ、学ぶことがとても多く、本当に有意義な時間を過ごすことができました。

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〈左〉クヴェヴリ(=ワインの発酵、醸造に使われるジョージアの伝統的なかめ)のようなタマゴ型のタンクで、釘や接着剤をいっさい使わず作られている。この中で「キュヴェ・3A(トロワ・アー)」が発酵、熟成されている。 〈右〉カーヴにある水晶。気の流れをよくするために、ここに置いてあるとのこと。ちなみにカーヴの中では、ワインのために常にモーツァルトが流れている。

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