京都の春の風物詩として、年々世界中からの注目が高まる「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」。今年で7回目を迎えた同イベントの中でも、特に見逃せない展示をナビゲート。京都ならではの歴史的な建造物と、現代アートとが、見事に融合する妙。5月12日までの会期中に、ぜひ味わいに出かけてみて。

目には見えない“VIBE”が、私たちの感覚を研ぎ澄ませる

 5月12日まで開催中の「第7回KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」。世界屈指の文化都市・京都を舞台に、国内外の重要な写真家の作品や貴重な写真コレクションの展示が、普段あまり足を踏み入れる機会のない歴史的建造物や近現代建築の空間で展開されている。 今年の総合テーマは「VIBE」。目には見えないが、私たちの感覚を研ぎ澄まし、揺さぶり、共振・共鳴させるものを提唱するこの写真祭で、特筆すべき展示をダイジェストで紹介する。

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アルフレート・エールハルト「自然の形態美-バウハウス100周年記念展」 両足院(建仁寺山内) supported by Alfred Ehrhardt Stiftung Berlin © Takeshi Asano - KYOTOGRAPHIE2019

 通常は一般公開されていない建仁寺両足院では、バウハウスでも教鞭を執ったドイツの前衛写真家アルフレート・エールハルトの日本初個展「自然の形態美-バウハウス100周年記念展」が開催されている。建築家・遠藤克彦がデザインを手がけた墨色の畳が強い印象を与える書院造りの空間では、代表作《Das Watt(干潟)》のパネル展示のほか、《貝のダンス》など海洋生物や植物の形態や細部を捉えた映像作品を投影。ミクロコスモスである自然界の造形と、仏教的宇宙観を凝縮した庭園建築の構造が見事にシンクロする展示構成となっていた。

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イズマイル・バリー「クスノキ」 二条城 二の丸御殿 御清所 © Takeshi Asano - KYOTOGRAPHIE2019

 世界文化遺産である二条城では、かつての台所に当たる御清所(おきよどころ)の空間そのものを「カメラ・オブスクラ」(世界最古の光学写真機)に見立てたイズマイル・バリーの作品群を体感できる。会場内に照明はなく、木造建築ならではの引き戸や壁の隙間からわずかに射し込む自然光だけが内部を照らし、和紙の上に光のスリットを浮かび上がらせる。また、つむじ風に翻弄された雑草が水たまりに描く幾何学模様や、故国チュニジアの海岸での少年時代を記録したフィルムロールに見立てた砂まみれのガムテープは、地中海を行き来しながら独自の作品世界を紡いできたバリーの詩的な哲学を囁きかけていた。

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