日本の伝統技術によって醸し続けられる国酒「日本酒」。その魅力をより深く知るため、毎月キーワードごとに象徴的な3本を紹介する。今月は、日本酒の原材料である「酒米」にフォーカスし、今、注目のアイテムをセレクト。

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日本酒造りにとって欠かせない酒米は、代表的な山田錦をはじめ、数多くの種類がある。そのなかから今回は、ファンの多い酒米のひとつである「雄町」の最高峰、フランスでの栽培に成功した「マノビ」、新たに誕生した石川県の「百万石乃白」の3種類をフューチャーした。

史上初、わずか28俵の“特上雄町”による「而今 特上雄町 純米大吟醸」

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「而今 特上雄町 純米大吟醸」720ml ¥50,000

 100年以上前に発見された酒米「雄町」は、品種改良が行われていない古代品種のため栽培が難しく、でき上がったお米の等級も1級や2級が主体。そのため雄町で大粒が揃った特上を栽培することは困難とされ、酒米の栽培農家にとっても長年の悲願だった。その努力が実ったのが平成30年の秋。その年の雄町米の総量の0.1%である28俵のみに、特上の等級が付けられた。生産者は、岡山県岡山市で時光農園を営む時光一樹さん。その非常に価値ある「特上雄町」による酒造りは、木屋正酒造に託された。

 そして2019年6月に発売されたのが「而今 特上雄町 純米大吟醸」。「プレッシャーもありましたが、史上初の米で醸せる喜びもありました。稀少なお米を削りすぎないよう、精米歩合は純米大吟醸の王道の40%にしました」と語るのは、杜氏の大西唯克さん。「而今」のブランドを立ち上げた6代目蔵元だ。米由来の旨味を存分に楽しめる凝縮感ある仕上がりで、口に含むと緻密な酸と穏やかなキレを感じ、心地よい余韻へと続く。特上雄町が収穫された年にしか造られないため、2020年の発売予定はない(在庫は蔵元に問い合わせを)。


木屋正酒造
三重県名張市本町314-1
TEL:0595-63-0061
https://kiyashow.com/

南仏産の“Manobi”を名古屋で醸した「醸し人九平次 CAMARGEに生まれて、」

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「醸し人九平次 CAMARGE(カマルグ)に生まれて、」720ml ¥5,000

 日本酒は国産米で醸すものという既存の概念を壊すことで、日本酒の新たな扉を開いた「醸し人九平次 CAMARGEに生まれて、」。萬乗醸造が、フランスにおけるSAKEの可能性を見出したのは2006年に遡る。南仏のアルル近郊、ローヌ川が地中海にそそぐ三角州で、自然公園の周りに広がるのが、フランス唯一の稲作地帯であるカマルグ。この地で、2014年より地元の米農家さんと栽培をスタートし、2015年秋にはフランス固有品種の「Manobi(マノビ)」を無事収穫。翌年には1年間寝かせたマノビを、蔵がある名古屋に持ち帰ることに成功した。

 誕生した「醸し人九平次 CAMARGEに生まれて、」は、南仏の眩しいほど降り注ぐ太陽や地中海の潮風を思わせるような瑞々しいミネラル感が印象的。柑橘やハーブを思わせる苦味と酸味が引き締める。ラベルに表示されている「43.67095,4.477772」をGoogleマップに打ち込むと、マノビの栽培畑の地図が表示されるのでぜひご覧いただきたい。2016年からは、ドメーヌ・クヘイジとして、ブルゴーニュでワイン造りも行っているが、これもまたSAKEの進化を求め、ワインとの化学反応を期待してのこと。新たな価値を次々と生み出している。


萬乗醸造
愛知県名古屋市緑区大高町字西門田41
TEL:052-621-2185
https://kuheiji.co.jp/

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